「人手不足」と「後継者問題」の相関関係
個人事業主や小規模事業を含む中小企業の多くが直面する難題には、資金繰り、人材育成、大手との価格競争などさまざまなものがありますが、優秀な経営者だからといって、思うようにならないのが後継者の問題です。
ユニクロ、ソフトバンク、楽天といった日本を代表する大会社のカリスマ起業家・経営者ですら、否、カリスマ的存在であったが故に、「自分が退いた後、会社はどうなるのか」という悩みを持っているのですから、後継者が育っていないという中小企業の経営者は少なからずいます。そして後継者がいないため、一代で、または自分の代で、商いを畳む事務所や店も少なくありません。
小規模事業の場合、後継者が育たない理由として、まず思い浮かぶのは「息子がいない」、「子が後を継ぎたがらない」これでしょう。しかしながら、人生をかけて運営してきた会社を一代で潰すのは惜しいと考えるなら、必ずしも実子でなければ次期社長になれないわけではありません。にも関わらず、会社を託せる後継者、次世代の牽引者がまったく育っていない場合、実は意外な原因が潜んでいることもあるのです。健全な人材育成を阻み、社を蝕む元凶は、「社風」というふんわりした言葉で表されがちな人災でした。
人手不足。この言葉をニュースやネットで見ない日はないくらいです。日本の産業全体が、働き手を奪い合っている状態といって過言ではありません。一方で、低賃金、ブラックワーク、出稼ぎワーホリ、引きこもり無職や生活保護受給者の増加と、仕事に恵まれない人もたくさんいます。何かが矛盾している。おかしい。そううっすら感じている方もいらっしゃるでしょう。労働力の不足は少子高齢化のせいとする一般論だけでは説明がつきません。
●人手不足で絶えず求人を出している
●離職率が高い
このような会社は、実は後継者の不在に直面する会社でもある、そんな傾向があります。確かにどちらも人材に関わる問題です。こうなる原因は大きく分けて2つあります。
不人気な「業種・業態」と世襲の難しさ
人手不足と言えばまず思い浮かぶのが、いわゆる3K業界です。「きつい」「汚い」「危険」な労働の頭文字をとって3Kと呼び、特に若年層から敬遠される傾向があるのは皆さんご存知のとおりです。
実際にこのような会社では、経営者自身すら、子どもに同じ苦労をさせたくない、他の道を選んでほしいと考えていることもあります。子どもの時から親が現場で働く姿を見せ、時には手伝わせて、学校を卒業したら下積みさせる。そのような世襲は、政治家や歌舞伎の世界では今でも当たり前にありますが、一般家庭の場合、子ども自身が親の後を継ぎたくないと意思表示することも珍しくありませんし、職業の選択においては本人、個人の意思が何より優先されるという考え方が主流となっています。
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