フィリピン「脱・中国」へ…関係悪化で融資交渉中止、次の一手を模索

4月8日週「最新・フィリピン」ニュース

フィリピン「脱・中国」へ…関係悪化で融資交渉中止、次の一手を模索
写真:PIXTA

一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏が、フィリピンの現況を解説するフィリピンレポート。今週は、マルコス政権の脱中国路線の動きと、同政権が目指す信用格付Aへの道のりについてレポートします。

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フィリピンの「A格」信用格付け獲得は難しいか?専門家分析

フィリピンのマルコス政権は、2028年までの「A格」信用格付け獲得を目指していますが、専門家からは厳しい見通しが出ています。その理由として、政府の恒常的な支出不足と、歳入改善のための改革不足が挙げられています。

 

5年間での達成は不可能ではないものの、租税徴収の穴を塞ぐこと、歳入・歳出活動における汚職撲滅、そして成長見通しの改善など、多大な努力が必要との見方があります。

 

フィリピンは現在、3大信用格付け機関すべてから「投資適格格付け」を取得しています。フィッチ・レーティングスは「BBB」、ムーディーズは「Baa2」、S&Pグローバル・レーティングスは「BBB+」です。いずれも「安定的」な見通しを与えています。一方、日本格付研究所は、すでにフィリピンに対してA-のレーティングをしています。

 

フィリピン政府は2019年から中央銀行と協力し、「A格信用格付け獲得へのロードマップ」策定のための委員会を立ち上げました。マルコス政権が、成長を犠牲にせずに財政健全化に取り組む改革を行えれば、Aランクに到達することができると見られています。軍や制服組職員の年金制度改革などを行い、財政赤字を削減できるとの指摘もあります。

 

2023年全体の財政赤字は、1兆5,100億ペソに縮小し、GDP比では2022年末の7.3%から6.2%へと縮小しました。政府の財政支出削減も問題だとの指摘があります。財政支出削減は赤字縮小の適切な方法ではなく、むしろ成長を鈍らせる要因だとの指摘です。

 

2023年のフィリピン経済成長率は5.6%にとどまり、政府の目標だった6~7%を下回りました。また、2022年の7.6%からも大幅に減速しています。政府支出は昨年、+0.4%と横ばいでした。これは2022年の+4.9%よりも低く、第4四半期には前年同期比で1.8%減少しました。

 

国家経済開発庁(NEDA)は、この低迷した政府支出は「意図的」であり、財政健全化計画の一環だと説明しています。

 

最近のマクロ経済指標を見る限り、信用格付けの引き上げは、現状では難しく、国の外貨債務比率、外貨債務返済負担、経常収支赤字、国家財政赤字、国家歳入はいずれも、パンデミックによる長期のロックダウン前よりも悪化しています。2023年末の外貨負債残高は過去最高の1,254億ドルに達し、2022年末の1,113億ドルから12.7%増加しました。これはGDPの28.7%にも相当します。外貨債務返済負担は、2022年末の84.83億ドルから、2023年には73.9%増の147.52億ドルに急増しました。

 

フィリピンの「A格」信用格付け獲得に向けた課題と展望について、以下に記載します。

 

・歳出削減と歳入増加の両面から取り組む財政健全化計画の策定:適切な支出削減と無駄削減を推進し、同時に税制改革や税務行政の効率化などにより歳入を増やす必要があります。

・汚職対策の強化:汚職対策機関の強化や法整備など、汚職撲滅に向けた取り組みを加速させる必要があります。

・経済成長率の向上:投資環境の改善、規制緩和、人材育成など、経済成長促進に向けたさらなる政策を推進する必要があります。

・国際収支の改善:輸出促進や外貨獲得力の強化に向けた政策を推進する必要があります。

 

これらの施策を実行することで、フィリピン政府は「A格」信用格付け獲得に向けた道筋を描くことができるのではないでしょうか。ちなみに、A格付けを獲得するメリットとしては、

 

・金利の低下:信用格付けが向上すると、政府や企業が資金調達を行う際の金利が低下します。

・投資の増加:投資家は、信用格付けの高い国に投資する傾向があります。

・経済成長の促進:金利の低下や投資の増加は、経済成長を促進します。

 

フィリピン政府が「A格」信用格付けを獲得することは容易ではありませんが、課題克服に向けた積極的な取り組みによって、実現可能な目標ではないでしょうか。

 

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※当記事は、情報提供を目的として、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングが作成したものです。特定の株式の売買を推奨・勧誘するものではありません。
※当記事に基づいて取られた投資行動の結果については、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティング、幻冬舎グループは責任を負いません。
※当記事の比較するターゲット株価は、過去あるいは業界のバリュエーション、ディスカウントキャッシュフローなどを組み合わせてABキャピタル証券のプロアナリストが算出した株価を参考にしています。

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