「フィリピンへのFDI」改善傾向だが…懸念は?
中央銀行(BSP)の最新データによると、昨年の純FDI流入は2022年の95億ドルから減少して89億ドルになりました。これは、FDI純流入が2年連続で減少したことを示しますが、中央銀行の予測である80億ドルは上回っています。一方でBSPは、2024年末までにFDI純流入が100億ドルに達すると予想しています。
HSBCによると、フィリピンのFDI流入はマレーシアやベトナムのように堅調ではありませんが、1990年代と2000年代初頭の停滞した流入からは改善。フィリピンのFDIを引き寄せる評判が確実に向上。これは、Ease of Doing Business Act、Corporate Recovery and Tax Incentives for Enterprises(CREATE)法、Foreign Investment Act、Public Service Act、Retail Trade Liberalization Actなどの大胆でゲームチェンジングな改革によるビジネス環境に変化によるものと分析しています。
一方で、継続的な規制上の障害や高コストの電力供給などのリスクも指摘。これらの懸念に対処するために、政府は規制緩和を促進し、再生可能エネルギーへの投資を拡大し、フィンテックやデジタル小売業の潜在能力を活用することに焦点を当てるべきだと提言。一方で2022年に再生可能エネルギーへの外資完全所有権が開放されたことで、再生可能エネルギーへの投資機会は見逃せないものになっていると期待を寄せています。
PPP新法で「官民パートナーシップ」をさらに推進
フィリピンの政府機関であるPPPセンターは、国家経済開発庁投資調整委員会(NEDA-ICC)の承認に向けて、今年中に官民パートナーシップ(PPP)プロジェクトを約20件提出する見込みであると発表しました。
現在、政府が推進する重点インフラ整備プログラムには182件のプロジェクトが存在し、そのうち約45件がPPP方式での実施が想定されています。
PPP新法は、これまでPPPプロジェクトの導入を阻害してきたボトルネックを解消することを目的としています。PPP法は、以前のBOT法(Build-Operate-Transfer Law)に存在していたあいまいな条項を明確にし、PPPのガバナンスを透明化させました。
現在、総額2.4兆ペソ相当の119件のPPPプロジェクトが計画されていますが、このうち 95件は国家プロジェクト、残りの24件は地方プロジェクトです。PPPを活用することで、民間セクターの貴重な経験、専門知識、資金を活用し、フィリピンの社会経済的アジェンダと開発イニシアチブを推進することができます。
また新法では、150億ペソを超えるPPPプロジェクトは引き続き NEDA理事会に提出されますが、政府補助金が必要ない150億ペソ以下のプロジェクトは実施機関が直接審査します。これにより、NEDA理事会に送られるPPPプロジェクトの数を減らすことで効率化が進みます。
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