※画像はイメージです/PIXTA

相続が発生した後、一般的には法定相続人全員で「誰がどのくらい遺産相続するのか」を決める遺産分割協議を行い、全員が合意した遺産分割方法をまとめた「遺産分割協議書」を作成します。しかし遺産分割協議書を作成しようと考えても、作成経験がある人は稀で、書式・様式・書き方など分からないもの。そこで作成までの流れが作り方を解説していきます。

遺産分割協議書の作成を依頼!目的別の依頼先や費用目安

遺産分割協議書の概要・注意点・書き方などを解説してきましたが、このように思われた方もいらっしゃると思います。

 

「自分で作成するのは大変そうだから専門家に依頼したい」

 

遺産分割協議書の作成を依頼できる専門家は、弁護士・税理士・司法書士・行政書士となります。ただ、遺産分割協議書は、「作成すること」がゴールではありません。作成した遺産分割協議書に基づいて相続手続きを進めることがゴールであるため、目的に合った依頼先を選択しましょう。

 

【目的別・遺産分割協議書の作成依頼先と費用の目安】

弁護士…遺産分割協議の時点で揉めている場合/費用は遺産総額によって変動

税理士…相続税の申告義務がある/費用は遺産総額の0.5〜1.0%

司法書士…相続財産に不動産が含まれる/費用は不動産1箇所10万円前後

行政書士…不動産以外の相続手続き全般/費用はトータル10万円前後

 

上記の一覧表に記載している費用は、遺産分割協議書の作成だけではなく、目的に合った手続きも含んだ費用となるのでご注意ください。

 

弁護士に依頼すべきケース

遺産分割協議書の作成を弁護士に依頼するケースは、「遺産分割協議の時点で揉めている場合(揉めそうな場合)」です。遺産分割協議において、他の法定相続人への交渉や調停等ができるのは弁護士のみです。揉めているケースや揉めそうなケースでは、弁護士に遺産分割協議書の作成を依頼するとよいでしょう。

 

税理士に依頼すべきケース

遺産分割協議書の作成を税理士に依頼するケースは、「相続税の申告義務がある場合」です。相続税が課税されるのは「遺産総額が基礎控除額【3,000万円+(600万円×法定相続人の人数)】を上回る場合」です。相続税申告を依頼する税理士報酬は「遺産総額の0.5~1.0%」で、プランの中に遺産分割協議書の作成が含まれていることが多いです。この場合、税理士は申告書類の作成に特化することとなり、遺産分割協議書を作成するのは提携している行政書士や司法書士となります。

 

ただ、税理士・司法書士・行政書士に別々に依頼をすると、費用が高くなってしまいます。相続税の申告義務があるならば、節税効果がある遺産分割方法を税理士に相談し、一括で遺産分割協議書の作成を依頼した方がスムーズです。

 

司法書士に依頼すべきケース

遺産分割協議書の作成を行政書士に依頼するケースは、すでに遺産の分割方法が決まっていて、なおかつ「相続財産に不動産が含まれる場合」や「相続財産が不動産のみの場合」です。相続による不動産の名義変更は「相続登記」と呼ばれ、この手続きは司法書士しか引き受けられません。司法書士に依頼をする場合は、「相続登記+遺産分割協議書の作成」のセットになることが多く、相続登記する不動産が複数あればその分費用も追加されます。相続登記は法定相続人が自分で行うこともできるため、時間や知識がある場合には自分で手続きを行ってもよいでしょう。

 

行政書士に依頼すべきケース

遺産分割協議書の作成を行政書士に依頼するケースは、すでに遺産の分割方法が決まっていて、なおかつ「相続財産に不動産が含まれない場合」です。行政書士は不動産以外の名義変更手続きができますが、司法書士も同様の業務を行っているため、相談の機会は少ないと言えます。しかし、行政書士は報酬が安く設定されていることも多いので、「少し専門家の力も借りたい」という方は依頼するとよいでしょう。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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