調整は年度内いっぱい、春以降の景況感改善に期待
さて、調整にも一巡感が出た、と述べた。確かにテクニカル指標では株価と移動平均の乖離率は縮小した。PERも低下、つまり予想利益と株価の乖離も縮小したということだ。しかし、まだ乖離が修正されない点がある。マクロ・ミクロのファンダメンタルズとの乖離である。
24年1月の景気動向CI指数は、3指標ともに前月比で下降した。中でも、一致CI指数は前月比で5.8ポイントと大きく下降し、2020年5月以来の下げ幅となった。
一致CI指数の下降に寄与したのが、構成系列で鉱工業生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数の4系列。自動車メーカーの工場稼働停止の影響で生産・出荷が落ち込んだ。
内閣府が発表する景気動向の基調判断は、昨年12月までは景気の拡張を示す「改善」と評価されていたが、今回、景気の拡張が弱まる「足踏み」へ変更された。
24年1-3月期の法人企業景気予測調査(貴社の景況判断BSI)も悪化している。マイナスとなった要因は、大企業では製造業の下振れが大きく、業種では、「自動車・同付属品製造業」と「化学工業」のマイナス寄与が大きい。
やはり、自動車関連企業では工場稼働停止の影響を織り込み、今期の景況感を保守的に判断したものと考えられる。
ただ、グッドニュースとしては先行きは持ち直す見通しであることだ。春以降の景況感の改善に期待したい。
4月になれば毎年恒例の外国人の日本株買い越しの季節性や、最近は日本株の評価が高まっていることから新年度は国内機関投資家の日本株のアロケーションも増えるだろう。ニューマネーの流入が期待される。
いずれにせよ、調整は年度内いっぱいだろうと思う。
広木 隆
マネックス証券株式会社
チーフ・ストラテジスト 執行役員
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