労使の交渉からスタートするDCの導入
ここまで読めば、あなたの勤めている会社に、まだDC制度がないのであれば、社長に一言「DC制度を導入してください!」と懇願したくなるのではないでしょうか?
この制度は、従業員に大変有利な老後資産づくりとなり、会社側は退職金対策、社会保険料の削減、福利厚生の向上となり、人材の確保、定着に寄与する、労使双方にメリットのある制度です。
労働組合のある会社では対峙するばかりの団体交渉ではなく、建設的な話の場となる事もあります。実は、私どもの会社でも組合執行部から相談を受けています。そんな熱心な社員たちの要望に経営陣は耳を傾けてくれるのではないでしょうか。
DC制度の導入準備には半年程度の時間が必要
では、実際に、中小企業がDC制度を導入するにはどうしたらよいのでしょうか?
はじめてしまえば、それほど難しいことはないDC制度ですが、実際導入するとなると、細かな規約や条件など、最初は決めなければならないこともたくさんあります。そこはプロに任せて、会社の担当者と二人三脚で進めていくのが重要です。
それでは最後に、導入までの全体の流れを簡単に説明します。
費用は、加入者数と運営管理機関によって違いますが、大まかに分けると初期導入時にかかる費用、制度を維持管理するために毎年かかる費用、各種変更や随時の手続時にかかる費用の三つに分かれます。
準備期間は、おおよそ半年くらいを目安にしてください。4月から導入をはじめるのであれば、前年の10月までに導入を決めるのが最もよいでしょう。
その際、加入者の範囲、掛金の選択幅、個人掛金の拠出の有無など導入する制度の概要を決定し、社員には、11月頃に説明会を行います。12月までに、厚生労働省に規約等を作成して申請を出します。許可が下りるのに3カ月ほどかかります。
【図表 企業型DCの一般的な導入の流れ】