(※画像はイメージです/PIXTA)

資産を次の代へ減らさずに確実に承継するために重要なのは相続に備え、財産を「整理」することです。本記事では、ティー・コンサル株式会社代表取締役でメガバンク・大手地銀出身の不動産鑑定士である小俣年穂氏が、円滑な資産継承のための「資産の見える化」について、その方法を詳しく解説します。

金融資産の「整理」しよう

資産のすべてを後継者に伝えてしまうと、資産をあてにしてしまって、その結果として一生懸命に自らの力で努力をしなくなってしまうのではないか、との話を耳にする。

 

個人的には「正にそのとおり」であると考えている。将来手にすることができる資産が見えると、その分の努力をせず、楽なことを選択するケースが多い。

 

たまに、資産家の一族において、資産欲しさの身勝手な理由に兄弟や親戚、両親などを手に掛け、逮捕されるような事件があるが、そのような「資産をあてにする気持ち」から生じていると思う。

 

[図表2]預金の整理表(例)

 

したがって、たとえば預金については金額を明記せず、「どこの金融機関のどこの支店に口座があるか」に留め、利用目的を記載するのみでいいのではないだろうか。

 

さらには、表の作成にあたっては利用頻度に応じた採番をし、各口座の優先順位を示したり、本人名義のみではなく本人が管理しているほかの口座(図における利用頻度4・5)を加えておくことも必要だ。

 

ここで、留意すべき点は、本人が長男のために貯蓄しているような口座(図における利用頻度5)である。よかれと思って貯蓄していても「名義預金」として相続税の課税対象となる可能性が高い。

 

※名義だけ長男であり、実質的には本人の管理下にある口座

 

また、利用頻度でランク付けすることで「真に必要な口座」を明確にし、その他については解約することを検討したい(たとえば図表2における利用頻度6の海外口座)。

 

後継者のためにも、いかにシンプルな形としておくかが承継にあたってのキモである。

 

[図表3]株式、保険の整理表(例)

 

株式や保険についても同様である。金額は明記する必要はないものの、内容の概要については明確にする必要があると思う。

 

また、生命保険の非課税枠利用については相続対策の有効な手段であることから、この点については明示してもいいと考える。

 

預金同様に、少額であったり、運用成績の芳しくない投資などについては、早期に手仕舞いのうえ解約することも検討したい。そのような観点での「整理」も必要である。

 

 

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