(2)自分の没後、残された家族を大事にしてくれるかどうか
オーナーは、自分が亡くなったあとに残される家族のことを憂う気持ちが強いものです。また、自分が亡くなったのをよいことに、後継社長がまるで最初から自分がオーナーであるかのように振舞って暴れまわるようなことを良しとはしません。自分という絶対的存在が消えても、ある程度、自分の家族に温かく接してくれるかどうか。そうした気くばりや心くばりができる後継者を望むわけです。
温厚、穏便、誠実な人柄を有しているかどうか。これは能力が高く会社の業績を伸ばせるオーナーの優先事項とは違った意味合いがあります。オーナー会社という環境のもとで後継候補になっている場合は、オーナーの家族との人間関係も生前からよくしておくことを心掛けたいものです。
株式等をすべて手放した場合は別にして、多くの場合、オーナーの持っていた株式は相続の問題で家族に譲渡されることになります。そういう意味でも、将来的にいろいろなことを円満に運ぶには、念入りなコミュニケーションが大切です。創業家の方が相続税対策で株式を売却する際に、自社に売ってくれるか、第三者に売ってしまうかの分かれ目になります。
細かな手続きも出てくるため、オーナー一族との人間関係をしっかり醸成しておくようにしたいものです。昨今の日本では、こういうことをきちんとできる人は少なくなってきているので、時代が変わっても昭和を見習う必要があるかもしれません。人と人との心のつながりというのは、大事にしていくべきではないでしょうか。