会社法・商法の改正によって「1円」でも法人を立ち上げられる現代
昨今は会社法や商法が次々と改正され、いまや1円でも法人を立ち上げることが可能になりました。かつての状況と比べると隔世の感があります。また、個人事業主が独立しやすくなってからも久しくなりました。
2006年頃にITベンチャーが台頭して大きなブームになりました。劇場型のベンチャー企業が一般的なメディアでも取り上げられるなどして世間を騒がせたことは、印象的な出来事として記憶に残っていることでしょう。
その頃から、一般の人々にとってもベンチャー企業やフリーエージェントがより近い存在になってきたと思います。そして現在において、革新的なベンチャー企業の挑戦は、社会的にもますます広がりを見せています。日本人はこのような時代の流れのなかで20年ほどの歳月を過ごしてきました。
私たち人材コンサルタントは、候補者(キャンディデート)のレジュメを日々拝見していますが、最近では転職の合間に独立した経験を持つ方が非常に多くなっています。つまり、どこかの会社に勤めた後、一度は自身で法人を設立して独立したり、副業を行ったりするケースが増えているのです。
私自身は、独立された成果として、例えば売上を追求したり、多くの従業員を雇用したり、会社の規模が拡大したということであれば素晴らしいことだと考えています。
しかし、必ずしも会社の大小が他人からの一方的な評価の基準になるものではないと考えています。それは、あくまでも独立された方の目標設定に基づいて評価されるべきものです。設立した法人がどうなったかということは、本人の問題であって、周囲があれこれ言うべきことではないと考えています。
独立が「転職」に及ぼす影響とは
独立されてから、私たちTESCOのようなエージェントに経歴書をお預けになる方々の多くは、志なかばであったり、真意とは異なるけれど何らかの理由があったりして、もう一度どこかの会社に勤めようと考えているのではないでしょうか。
設立した会社の業績が順調に推移しているのであれば、そちらで活躍されることが多いと思われます。しかし、繰り返しになりますが、独立という行為が自身の評価で「失敗」だったとしても、他から否定されるものではないと断言できます。そのため、独立経験のあとで就職を考える場合、よくいただく質問が「自分のことを使いにくいと思われないでしょうか」というものです。この点は、多くの方が気にされるところです。
心配はもっともで、「会社を飛び出して自分の法人を作った人は、もう集団の輪に入れないのではないだろうか」と考える古いタイプの会社も依然として存在します。また、自身の法人をどのように手仕舞いしたかという経緯は、第三者にわかりにくいところがあるので、「再就職してからもコソコソ副業を続けているのではないか」とか「会社の情報資源を流用しているのではないか」と周囲が疑心暗鬼になることがあります。
一方で、そういうことはまったく気にしないオープンな社風の会社もあります。