大半の企業は、中途採用した人材に「即戦力性」を求めています。そうした期待自体は問題ありませんが、求職者の働きに対する「対価」についてもよく考えておくべきでしょう。そこで今回は、東京エグゼクティブ・サーチ(TESCO)の代表取締役社長・福留拓人氏が、同じ職種・同じ仕事での転職について日本と欧米の違いを分析し、解説します。
即戦力なら「年収25%上乗せ」が当たり前?同業他社から転職してくる人材を“好待遇”で迎えるべきワケ【転職のプロが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

即戦力が欲しいなら「25%増の給与」でオファーすべき理由

企業の視点に立って人材を採用するとき、中途採用ではいうまでもなく「即戦力」と期待して迎え入れることが大半であると思います。採用する側としては、できるものなら同じ業種、同じ商材、そして可能な限り似た環境で活躍していた人材に、引き続き同じような環境で働いてもらいたいのです。人材側のマインドやモチベーションは度外視していますが、とにかく期待するのは、すぐに活躍してくれる即戦力というわけです。

 

結論から申し上げると、いまの市場下において、もし転職前とほぼ同じ内容の仕事に従事して活躍してもらい、業績を上げてほしいならば、少なくとも25%のプレミアムを付加したオファーをするべきでしょう。つまり、求職者の現在の年収に上積みをして提示するということです。現在年収1,000万円の方であれば、最低でも1,250万円でオファーするということになります。

 

ここで押さえておかなければならないことがあります。もちろん個人差はありますが、転職前と同じ職種であれば、活躍している人材ほど転職を避ける方向にあります。なぜなら、転職しても同じ業種、同じ業務で仕事をするのであれば、人間関係や環境を変えるというリスクを冒すメリットはないと考えるからです。

 

「同じことをやるのなら転職する必要はない」と考えるのが多数派です。そのうえで、転職をするからには「給料が多少下がっても、今までチャレンジしたことがないような“違うこと”をしたい」と考える人が一定数以上存在するのも、また同じように日本人の文化的特徴です。