●日経平均は取引時間中に40,000円台乗せとなったが、週末のメジャーSQを控え乱高下に注意。
●SQ前のオプションのデルタヘッジなどにより、日経平均は40,000円を挟んで上下に振れる展開も。
●ただSQ前の変動は一時的で、SQ後に上昇一服となっても年内展望なら40,000円は通過点か。
日経平均は取引時間中に40,000円台乗せとなったが、週末のメジャーSQを控え乱高下に注意
日経平均株価は3月4日の寄り付きで、心理的な節目である40,000円の大台に乗せました。3月1日の米国市場では、ハイテク株比率の高い米ナスダック総合株価指数が前日に続き最高値を更新し、米フィラデルフィア半導体株指数(SOX)も前日から4.3%上昇するなど、ハイテク株の活況が顕著でした。この流れを受け、本日の東京市場では値がさの半導体関連株を中心とする買いが日経平均を押し上げる格好となっています。
騰勢の続く日経平均ですが、今週は7日に3月物の株価指数先物とオプションの取引最終日、8日に特別清算指数(SQ)の算出を控えるため、やや注意が必要です。今回は先物とオプションの清算が重なる3ヵ月に1回の「メジャーSQ」で、一般にメジャーSQの週は、先物やオプションの取引主体がSQ直前の限られた時間で取引判断を迫られるため、清算価格を巡る思惑的な売買が膨らみやすく、株価は乱高下しやすくなります。
SQ前のオプションのデルタヘッジなどにより、日経平均は40,000円を挟んで上下に振れる展開も
そこで、日経225オプションに目を向けると、3月物コールオプションは3月1日時点で行使価格40,000円の建玉(たてぎょく、未決済残高のこと)が、大きく積み上がっていることが分かります(図表1)。そのため、例えば日経平均が40,000円を超えて上昇すると、行使価格40,000円のコールオプションの売り手には損失が発生することから、売り手は別途、日経225先物を買って、「デルタヘッジ」を行うことがあります。
先物に買いが膨らみ、先物が現物に対し一時的に割高になると、裁定業者(主に証券会社)による「裁定売り取引の解消」や「裁定買い取引」(いずれも先物を売って同時に現物を買う取引)で、現物である日経平均の上昇が加速する場合があります。一方、日経平均が40,000円を割り込むと、これらとは逆方向の売買が発生し、日経平均の下落が加速することも起こり得ます。
ただSQ前の変動は一時的で、SQ後に上昇一服となっても年内展望なら40,000円は通過点か
しかしながら、メジャーSQを前にした株価の変動は、基本的にはポジション調整に伴う一時的なものです。また、SQは、日経平均株価の「戻り高値」や「押し安値」となる傾向があります。実際に、直近2年の日経平均株価の推移とメジャーSQの値をみると、2022年は3月が押し安値、6月、9月、12月が戻り高値となり、2023年も6月と9月は戻り高値となりました(図表2)。
ただ、2023年3月と12月は戻り高値とはならず、その後の日経平均は大きく上昇しています。今回、3月8日に算出されるメジャーSQが戻り高値となるか否か、SQ後の株価動向が注目されますが、仮に戻り高値となっても、上昇ペースが一服する程度で、株高基調が損なわれる恐れは小さく、年内を展望すれば、日経平均の40,000円は通過点となる可能性が高いと考えています。
(2024年3月4日)
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『「日経平均4万円」の大台乗せは“通過点” ~ただし目先は乱高下に注意【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】』を参照)。
市川 雅浩
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
チーフマーケットストラテジスト
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