(※写真はイメージです/PIXTA)

※本稿は、チーフマーケットストラテジスト・市川雅浩氏(三井住友DSアセットマネジメント株式会社)による寄稿です。

 

●金融政策を議論し決定するFOMCでは、7名の理事と5名の地区連銀総裁が投票権を保有する。

●投票権を持つ12名のうちハト派は3名、タカ派は2名、中立7名と比較的バランスの取れた陣容に。

●米金融政策を見通す上で、常任メンバーの発言は重要、タカ派メンバーのトーンの変化も要注意。

金融政策を議論し決定するFOMCでは、7名の理事と5名の地区連銀総裁が投票権を保有する

米国の連邦準備制度(The Federal Reserve System)は、1913年の連邦準備法によって設立された中央銀行制度です。その最高意思決定機関が、ワシントンにある連邦準備制度理事会(The Board of Governors of the Federal Reserve System) で、一般的にFRB (The Federal Reserve Board)という略称で呼ばれています。FRBは連邦政府の1機関であり、7名の理事(うち議長1名、副議長1名、金融監督担当副議長1名)で構成されています。

 

FRBは、その下に12の地区連邦準備銀行(地区連銀)を抱え、業務に関する広範な監督権限を付与されています。なお、金融政策の決定に関する議論は、連邦公開市場委員会(FOMC)で行われ、7名の理事と5名の地区連銀総裁が投票権を持ちます。理事とニューヨーク地区連銀総裁は、常に投票権を持つ常任メンバーですが、4名の地区連銀総裁は、輪番制により1年の任期となります。

投票権を持つ12名のうちハト派は3名、タカ派は2名、中立7名と比較的バランスの取れた陣容に

つまり、投票権を持つ5名の地区連銀総裁のうち、ニューヨーク地区連銀総裁を除いて、4名が毎年入れ替わることになります。2023年は、シカゴ、フィラデルフィア、ダラス、ミネアポリスの各地区連銀総裁がメンバーでした。2024年は、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコの各地区連銀総裁が、新たに投票権を持つメンバーとなります。

 

2024年のFOMCで投票権を持つメンバーについて、最近の発言などを踏まえ、金融政策のスタンスを、ハト派(景気重視)、中立、タカ派(物価重視)の3つに区分したものが図表1です。投票権を持つ12名のうち、ジェファーソン副議長、クック理事、クグラー理事の3名がハト派、ボウマン理事とリッチモンド地区連銀のバーキン総裁の2名がタカ派、残り7名が中立と、2024年のFOMCは比較的バランスの取れた陣容となっています。

 

[図表1]FOMCメンバーの金融政策スタンス

米金融政策を見通す上で、常任メンバーの発言は重要、タカ派メンバーのトーンの変化も要注意

米金融政策については、最初の利下げ時期とその後の利下げペースが、引き続き焦点となっていますが、1月2日時点のフェデラルファンド(FF)金利先物市場では、最初の25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げは3月で、年6回の利下げが織り込まれていました。ただ、その後は米雇用や物価の底堅さが確認されたことから、2月27日時点で最初の利下げは6月、年3回の利下げの織り込みとなっています(図表2)。

 

[図表2]FF金利先物市場における利下げの織り込み

 

弊社は6月に最初の利下げが行われ、その後は四半期に1回のペースで、年3回の利下げを予想しています(利下げ幅は25bp)。先行きの米金融政策を見通す上では、雇用や物価指標に加え、FOMCメンバーのうち、特にパウエル議長ほか常任メンバーの発言は重要な手掛かりとなります。また、タカ派メンバーの発言で、タカ派色が弱まれば、利下げは近いと読み取ることもできます。

 

(2024年2月29日)

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『「2024年FOMCメンバー」の金融政策スタンスは?投票権を持つ12名を〈ハト派・中立・タカ派〉に区分【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】』を参照)。

 

市川 雅浩

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

チーフマーケットストラテジスト

 

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