「日経平均10万円」は遠い将来の話ではない
では日本はと見れば、1970~1990年代までのリスクテイク旺盛な時期には、日本の株式益回りは、恒常的に債券利回りを下回り続けていた。しかし2000年代に入り、リスク回避姿勢が深刻化し、現在は大恐慌直後の米国のように、株式益回りが国債利回りを極端に上回る水準にある。
今後市場心理が改善し、米国のように益回りは長期国債利回りの水準に向かって低下していき、どこかの時点で《株式益回り=長期国債利回り》という均衡水準に行きつくのではないだろうか。
では日本の長期金利はどこまで上がるのか。2%インフレが定着し日銀の超金融緩和政策が終わる時点で3%まで上昇したとしよう。となると益回り3%、PER33倍が妥当株価となる。このように考えれば、今の企業業績(EPS)のままでも妥当株価は、日経平均8万円という水準が正当化されることになる。
日経平均株価が史上最高値を突破したことによって、市場心理凍結時代の株価尺度が投げ捨てられれば、日本株式は糸の切れた凧のように大きく舞い上がる可能性があり得る。日経平均10万円は遠い将来の話ではなく、今そこにある現実なのかもしれない。
日本における経済・産業のこれからの筋書きとは
――日本の新たな繁栄の時代とはイメージがわきませんがどのような形の国になるのでしょうか。
武者氏:日本はハイテクの生産強国になるだろう。
東アジアにおけるハイテク製造業のハブは、30年前に日本から中国、韓国、台湾に移った。これが日本に戻ってくるというイメージがほぼ確かになっている。今の半導体ブームはその前兆と見て良い。
現在の日本景況の改善をもたらした半導体ブームと円安などはかねてから説明しているように、米中冷戦という地政学環境の変化抜きには考えられない。米国筋書きの世界サプライチェーンからの中国排除、日本産業復活が進行しているということである。
――米国政府の筋書きはその通りだとしても、採算・経済合理性ベースで行動する民間企業がついていくのでしょうか。
武者氏:経済合理性は後からついてくる。政府補助、為替の円安がそれを促進する。
台湾、韓国のハイテク企業は日本での投資が今後の勝負を決すると考え、対日投資を活発化させている。台湾TSMC、韓国サムスン、SKハイニックス、台湾力晶半導体等がすでに投資を表明している。
日本政府の手厚い補助に加えて、今後の半導体技術のブレークスルーをもたらすと考えられている後工程に関して、日本のプレゼンスは高い。後工程系の装置、素材等の関連技術企業が日本に集中している。
TSMCは唯一の海外開発拠点を筑波に設けており、サムスンも横浜に先端パッケージ技術の研究拠点を建設中である。世界半導体投資が日本に集中し始め、投資が投資を呼ぶという好循環が期待できそうな環境である。
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