(※写真はイメージです/PIXTA)

日銀による「マイナス金利政策」の解除で、今後の住宅ローンの契約で「固定金利」と「変動金利」のどちらを選択するか、頭を悩ませている人も少なくありません。金利上昇リスクはありつつも、「変動金利や10年固定金利には節税のメリットがあることも知っておいてほしい」と、住宅ローンの専門家で、公認会計士でもある千日太郎氏は言います。千日氏の著書『住宅破産』(エムディエヌコーポレーション)より、詳しく見ていきましょう。

「住宅ローン控除」のメリットは今後なくなる?

マイホームを売却して譲渡益が出たら、その譲渡益にも税金がかかります。譲渡益は単純な売却価格と購入価格の差ではありません。仲介手数料などの付随費用を加味するほか減価償却費(使用や経年劣化による価値の減少分)を差し引くなどして計算します。

 

しかし、自宅として利用していた不動産を売却する場合、その譲渡益には3,000万円を限度として税金を払わなくていいという特例があるのです。この3,000万円の特別控除によって売却益の税金はかからないのですが、代わりに新しく購入する家の住宅ローン控除は使えなくなってしまうのです。

 

新しく家を購入した年とその前後の2年ずつの5年間に前の住宅を売却して、その売却益に3,000万円の特別控除を使うと住宅ローン控除が受けられなくなります。

 

そのため、新しいタワーマンションに買い替えて新たに住宅ローン控除を受けられるなら、現在住んでいるタワーマンションで売却損となっても良いのです。売却益が出るのなら、それに越したことは無いですが、新たな住宅ローンで住宅ローン控除が受けられなくなります。

 

ただし、住宅ローン控除という減税制度がずっと続くという保証はありません。もともとは消費増税で経済が冷え込んでしまうことを防止するために、住宅需要をたきつける目的でスタートした減税制度です。現時点では、コロナ不況によって2022年まで13年の延長措置が決まっていますが、その後も続くとは限りません。

 

また、令和4年度税制改正ではこの仕組みを見直すことが予定されているため、将来の経済環境と税制改正によっては、住宅ローン控除のメリットが減ってしまう又は無くなってしまう可能性があります。

 

好きこそものの上手なれということわざがありますが、価値観に加えて得手不得手というものもあると思います。マンションの市場価値を調べるのが好きで、金融情勢にも明るく、税制の情報もマメに収集するような人にはこうした資産ポリシーがしっくりくるのかもしれません。

 


 

千日 太郎

オフィス千日 代表社員

 

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※本連載は、千日太郎氏による著書『住宅破産』(エムディエヌコーポレーション)より一部を抜粋・再編集したものです。

住宅破産

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千日 太郎

エムディエヌコーポレーション

日常の家計収支の面では賃貸も住宅ローンも同じです。住宅ローンを滞納すると、住宅を手放さなければならなります。マイホームの使用価値を享受するために所有者が払うリアルな金額は毎月の住宅ローンの返済額です。マイホーム…

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