(※写真はイメージです/PIXTA)

日銀による「マイナス金利政策」の解除で、今後の住宅ローンの契約で「固定金利」と「変動金利」のどちらを選択するか、頭を悩ませている人も少なくありません。金利上昇リスクはありつつも、「変動金利や10年固定金利には節税のメリットがあることも知っておいてほしい」と、住宅ローンの専門家で、公認会計士でもある千日太郎氏は言います。千日氏の著書『住宅破産』(エムディエヌコーポレーション)より、詳しく見ていきましょう。

「変動金利」や「10年固定金利」には“節税メリット”も

また変動金利や10年固定金利にすることで、住宅ローン控除による節税メリットを得られます。

 

住宅ローン控除とは年末ローン残高の1%を上限として最長13年(又は10年)にわたり所得税等から還付する減税制度です。一般の新築住宅で年間40万円×40年(13年)の控除を受けられるので10年で最大400万円(13年で520万円)の節税となります。

 

10年間の住宅ローンの金利が1%未満であれば、逆に儲かっている状態です。住宅ローンの金利タイプでは、変動金利や10年以下の当初固定金利であれば1%未満の金利水準であるため、住宅ローン控除による節税効果を十分に享受できます。

 

また5年から10年程度で住宅を売る前提であれば変動金利の金利上昇リスクもそれほど問題となりません。変動金利の5年ルールと125%ルールがある場合は、銀行の都合によって金利がどんなに上昇しても5年間は直前の元利均等返済額が維持され、6年目から増加しますがその上限は直前の1.25倍までに制限されるのです。

 

つまり極端な例として買ってすぐに金利が上がったとしても5年間は毎月の返済額が増えないので落ち着いて売り先を探すことができます。毎月の返済額が1.25倍まで上がっても大丈夫なように余裕をもっておけば、6年目以降も10年までは資金繰りが苦しくなって売り急いで足元を見られるようなことはありません。

 

そして、10年間は住宅ローン控除がありますから、金利の上昇による利息の負担が1%を上限に相殺されます。金利が上がって売り主を探している間も、よほど金利が上がらない限りは毎月の返済によってある程度住宅ローンが減っていきますので、焦ることはないのです。

 

また、10年固定金利タイプで適用金利が1%未満であれば、10年間は金利が固定されますので、変動金利のように銀行の都合で適用金利が上昇してしかたなく売り手を探すという必要がありません。10年間は十分な収入があって所得税が発生し、住宅ローンを粛々と返済し続けている限り、住宅ローン控除によって儲かる、まさに「住宅ローン錬金術」なのです。

 

ただし、35年固定金利にするとロスがあります。35年固定金利は変動金利や10年固定金利よりも相対的に高い金利となることが多いですが、その理由はその分長期間にわたって金利を固定させるためです。

 

売却するまでの間、又は住宅ローン控除の期間だけ低金利が続けばよいのですから、それを超えて期間を固定させるコストを払うのはロスになります。35年固定金利とすることでリスクは増えませんが、金利を固定させるコストを余分に払っていることになります。

 

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※本連載は、千日太郎氏による著書『住宅破産』(エムディエヌコーポレーション)より一部を抜粋・再編集したものです。

住宅破産

住宅破産

千日 太郎

エムディエヌコーポレーション

日常の家計収支の面では賃貸も住宅ローンも同じです。住宅ローンを滞納すると、住宅を手放さなければならなります。マイホームの使用価値を享受するために所有者が払うリアルな金額は毎月の住宅ローンの返済額です。マイホーム…

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