(※写真はイメージです/PIXTA)

長年連れ添った夫婦でも、まだ知らないことがあるかもしれません。場合によっては、後々思わぬ形で発覚し、配偶者を窮地に追いやる事態となるケースも……。本記事では、福田さん(仮名/67歳)の事例とともに身近な相続トラブルについて、FPの小川洋平氏が解説します。

生前に考えるべき対策

今回、最大の問題は小百合さんが真奈美さんの存在をずっと隠したまま亡くなってしまい、なにも対策ができなかったことが問題です。いまとなってはどんな事情があって隠していたのか、小百合さんに尋ねることもできませんが、福田さんが真奈美さんの存在を知っていれば対策することができたことも多々あります。

 

重要なことは小百合さんは自分の死後に財産をどうしたかったのか、しっかり意志を示し遺言書を遺したり生命保険を活用したりするなど、法的な対策を取ることもできますし、エンディングノートなどで自分の想いを伝えることもできたことでしょう。

 

また、ほとんどの人は意識せずにいますが、万が一があった際、相続が原因で『争族』になってしまうことは多くの家族間でよくあることです。

 

「相続の問題なんてお金持ちの問題だから自分には関係ない……」そう思っていても、今回の福田さんのように分割することが難しい、自宅の土地や会社の自社株などの評価額が高くなると争いになりかねません。

 

経営者の場合は特に、今回のように自社株が経営に関わらない相続人に渡ってしまうことで会社の経営権を握ってしまったり、株主として経営に影響するほどの発言権を持ってしまったりといったことも考えられます。

 

そのため、自社株の価値を把握し、もし今回のようなケースのように自社株の評価額が高くなるような場合には事前に自社株の引下げができる対策を考えておく必要があるでしょう。

 

また、現預金に関しては一時払い終身保険などの生命保険で保有しておくことも有効です。生命保険は受取人固有の財産となり、遺産分割の対象となる相続財産からは除外されて計算されます。

 

そのため、仮に今回のケースで金融資産をすべて生命保険で保有していた場合には、2,000万円が遺産分割協議の対象から除外されることになり、娘である真奈美さんの法定相続分も4,250万円に圧縮することもでき、なおかつ真奈美さんに自社株の代わりに支払うことができる資産も1,000万円増額されることになります。

 

生命保険は一部だけを解約する『減額』もできますので、いざ資金が必要になっても一部だけ取り崩してお金に変えられる流動性を持っています。全額とはいわずとも必要な現預金を残し生命保険で運用を兼ねて相続の対策資金として保有することを検討することをお勧めします。

 

相続対策は、遺言や生命保険の活用といった法定相続分等を考慮した法的な対策と、相続人全員が納得するために、被相続人(今回の場合であれば小百合さん)の想いを伝えることが重要です。

 

可能な限り生前に相続人全員を集め、自分の想いを伝えつつ相続人全員が納得できる遺産分割を生前のうちに決めておき、そのうえで法的な対応をしておくことで『争族』になることを予防しましょう。自社株や不動産の代わりにほかの相続人に支払う資金の準備も可能です。

 

人間いつかは必ず死を迎えるものです。自分の死についてしっかり向き合い、死後に誰も困らないように生前に対策を考えておくこと必要があります。

 

また、特に経営者の場合には自社株が関わり、会社の経営、社員の生活にも影響をおよぼすことです。弁護士や税理士といった専門家の知識と視点をもとに分析し、本人や相続人、関係者全員が財産で要らぬトラブルに巻き込まれたり、財産の整理で大変な想いをしたりすることのないよう、対策を考えておきましょう。

 

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