(※写真はイメージです/PIXTA)

都市部への人口集中と高齢化により、地方にある「実家」の“空き家化”が進む昨今。悩ましい問題ですが、「地方の実家を相続して処理に困った場合、唯一の対処法がある」と、不動産事業プロデューサーの牧野知弘氏は言います。牧野氏の著書『負動産地獄 その相続は重荷です』より、詳しく見ていきましょう。

「地方の実家」を処分するための“唯一の方法”は?

逆にうまく運んだ事例もあります。

 

私とおつきあいのある新聞社の記者さんから相談を受けたときのことです。地方の実家を相続したけれども、自分はすでに家を持っていたので処分しようと思ったのですが、これが売れない、貸せないということです。

 

こうした相談には、実はなかなか良い解答がありません。敷地は約300坪。現場を実査すると、高台にあって、整形で見晴らしもよく、たしかに良い土地ではあるのですが、普通の家として売るには大きすぎます。さりとて区画割りして分譲するにも、そもそも分譲住宅マーケットが存在しません。

 

「お隣さんに話を持っていきませんか。もし関心があれば値段はどうでもよいですから売ってしまいましょう」

 

情けないですが、私のアドバイスはそこまででした。しかし数週間後、記者さんから来た電話は弾んだ声。

 

「売れました! お隣さん、敷地を拡げて、畑にしたいって」

 

先方希望のお値段はなんと300万円。思いもしない大成功です。

 

お隣さんに売れ。これが地方の実家の唯一ともいえる対処法です。意外と自分の土地は狭くて不満なので、安く買えるのなら買いたい、というお隣さんは多いものです。

 

これは実にラッキーな話ですが、今後も多くの地方で人口減少、高齢化が進展していくと、全く売れず、貸せずにただ維持管理だけを強いられるという実家、元実家が大量に発生することが予想されます。需要が減り続けていくエリアでの不動産はとにかく早めに、どんな値段でも売れる間に「売る」に限るのです。

 

 

牧野 知弘

 

オラガ総研 代表取締役

 

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※本連載は、牧野知弘氏の書籍『負動産地獄 その相続は重荷です』(文藝春秋)より一部を抜粋・再編集したものです。

負動産地獄 その相続は重荷です

負動産地獄 その相続は重荷です

牧野 知弘

文藝春秋

資産を巡るバトルでも相続税対策でもない。 親が遺した「いらない不動産」に悩まされる新・相続問題が多発! 戦後三世代が経過していく中、不動産に対する価値観が激変。 これまでは相続財産の中でも価値が高いはずだった…

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