(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢化により、これから日本で巻き起こると言われている「相続ラッシュ」。ここで問題となるのが、不動産の相続に際して発生する多額の「相続税」とどう向き合うか、という問題であり、特に「生産緑地として登録されている所謂“都市農地”には注意が必要」と、不動産事業プロデューサーの牧野知弘氏は言います。牧野氏の著書『負動産地獄 その相続は重荷です』より、詳しく見ていきましょう。

「都市農地」の相続で巻き起こる“深刻な状況”とは

都市部には住宅が多いことから、相続財産における不動産については家のことばかりを考えがちですが、今後は相続したら意外に厄介な不動産となる可能性が高いのが、都市部の郊外にある所謂都市農地の存在です。

 

都市部にある農地は、都市部へ人が集中し、市街化がすすむにつれ宅地化されていきました。しかしいっぽうで、都市部にあっても一定の緑地があることは、良好な都市環境を維持するためには大切なことです。

 

また都市郊外で生産される野菜、果物などは消費地に近いために、より鮮度が保たれた状態で消費者の手元に届くという利点があります。

 

ここで問題となるのが税金です。都市部の多くの土地は、政策的には市街化を進める目的で市街化区域に指定されています。そのために通常であれば、土地の利用形態が農地であったとしても、宅地並みに固定資産税や都市計画税が課税されなければなりません。

 

しかし、宅地と同程度の課税を受けてしまうと、面積の広い土地を必要とする農地では、農業を行うことは不可能です。そこで、一部の自治体では農業を続けるために、一定の条件のもとに、市街化区域内であっても土地に課せられる固定資産税などの水準を農地並みに引き下げることを認めており、認められた土地を生産緑地と名付けています。

 

1992年に実施された生産緑地法改正では、この制度の適用を受けるためにいくつかの要件が設定されました。都市農地を持ち、農業を行っている人に対して、税金を軽減する見返りに、いったん生産緑地に登録した暁には、その土地において農業を30年間にわたって継続しなければならないという、営農義務が設けられたのです。

 

こうした制度が設けられた当時の背景としては、平成バブルによる土地の高騰で地価が上がり、固定資産税負担が増す都市農家を守るためということと、郊外部における乱開発の抑制という目的がありました。

 

登録を行うと30年間は農地となることから、不動産業者からみれば、土地が30年間にわたって塩漬け状態になってしまうことになりました。

 

当時、私は大手デベロッパーに在籍していて、JR中央線沿線に広大な畑や田を所有する地主さんに、土地を有効活用してマンションやアパート、ビルなどを開発、建設する提案を行っていました。

 

ところがこの改正で地主さんたちが続々と自分たちの畑や田を生産緑地に登録してしまうのを、指をくわえて見つめるだけという悔しい思いをしたことをいまだによく覚えています。

 

実際に現在でも生産緑地にはかなり多くの都市農地が登録されていて、2021年時点で全国約5万8,000地区、1万2,000haが登録されています。

 

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次ページついに迎えた「生産緑地2022年問題」とは?

※本連載は、牧野知弘氏の書籍『負動産地獄 その相続は重荷です』(文藝春秋)より一部を抜粋・再編集したものです。

負動産地獄 その相続は重荷です

負動産地獄 その相続は重荷です

牧野 知弘

文藝春秋

資産を巡るバトルでも相続税対策でもない。 親が遺した「いらない不動産」に悩まされる新・相続問題が多発! 戦後三世代が経過していく中、不動産に対する価値観が激変。 これまでは相続財産の中でも価値が高いはずだった…

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