(※画像はイメージです/PIXTA)

「医学部の面接小論文試験では、医師としての資質が問われるので、入念に対策しなければならない」…元医大生講師の綿谷もも氏は、これを「よくある誤解」だと指摘します。実は医学部の面接小論文対策は、時間をかけて入念にする必要はありません。一体なぜなのか? 綿谷氏の著書『医学部受験バイブル 現役医大生からの贈り物』(監修:高梨裕介氏)より一部を抜粋し、見ていきましょう。

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そもそも、なぜ医学部受験で面接小論文試験が行われるのか

対策内容に入る前に、面接小論文試験について知っておくべき情報を整理します。間違った情報に振り回されてしまうと無駄な対策に時間を費やしてしまうため、よくある誤解はここで解消しておきましょう。

 

医学部面接小論文試験のよくある誤解は、「医学部の面接小論文試験では、医師としての資質が問われるので、入念に対策しなければならない」というものです。

 

実は、医学部の面接小論文対策は、時間をかけて入念にする必要はありません。

 

面接小論文試験を終えた生徒に話を聞くと、最も多い声は「拍子抜けするような試験だった」というものです。逆に、「もっとしっかり対策すべきだった」という感想は一度も聞いたことがありません。

 

「なぜ医学部受験で面接小論文試験が行われるのか」がわかると、このような感想に納得できるかと思います。

 

医学部受験で面接小論文が行われる背景には、「いくら勉強面で優秀でも、人間性に問題がある生徒を入学させたくない」という考えがあるとみています。

 

例えば、病院実習では、医学生が患者さんと直接話す機会があります。その際に学生が患者さんを傷付けてしまうような発言、患者さんを不快にさせる態度を取ったとしたら、大学としても病院としても大問題になります。

 

人間性に問題がある学生が入学してしまった場合、大学にとって不都合が大きいため、入学の段階で評価しておこう、となるのだと考えられます。

 

また、軽い気持ちで医学部を目指して入学してしまうと、医学部の勉強に耐えられずに途中で大学を辞めてしまう可能性があります。医師として働くことをある程度しっかり考えているかをみるためにも、志望動機を聞く大学が多いのだと考えています。

実は面接・小論文のハードルは高くない

医学部面接・小論文試験の対策本を見ると、模範回答例で専門的な内容が挙げられていたり、踏み込んだ考えまで載っていたりすると思います。

 

また、オープンキャンパス等で医学生の話を聞くと、高尚な医学部志望動機が挙げられていたり、ボランティア等の高校時代の活動が熱心だったりして、「立派な人でないと医学部に合格できないのでは」と不安に感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

結論から言うと、全然そんなことはないです。どの大学も医学部の定員は100人程度ですが、本当に様々なタイプの学生がいます。

 

もちろん、中には高校時代に部活動で華々しい実績を残していたり、医療分野に詳しく自分なりの意見を持っている人もいます。しかし、決してそのような「しっかりとした人」ばかりではなく、「ふつうの人」もたくさんいます。

 

オープンキャンパスやパンフレットで取り上げられる学生は特に優秀な人が多いために、「イメージする医学生像」のハードルが上がってしまうのかもしれません。

 

もう1つのよくある誤解として、「面接小論文対策として、医療分野の知識を身につけなければならないのではないか」というものがあります。

 

受験の時点では、医療分野の知識はほとんど求められません。医療の知識は大学に入学してから6年間かけて学ぶので、大学の先生の多くは「大学に入ってから身につければよい」と考えているはずです。

 

一般的なニュースで取り上げられるほど社会的に問題となったトピックは頭に入れておくと良いですが、それ以上の詳しい知識は入試の時点では合否に影響しないと言えます。

「医師の適性」で悩みすぎない

少し話が逸れますが、「医師の適性」についてもお話ししておきます。「医師の適性」と聞くと、何が思い浮かびますか?

 

一般的に挙げられているものとしては、コミュニケーション能力が高いこと、責任感が強いこと、リーダーシップがあること、勉強熱心であること、体力があること等があるでしょうか。

 

こういった「医師の適性」をみて、「自分は医師の適性がない、医学部を目指すべきではないのか」と悩んでしまう医学部受験生は多いのですが、あまり考え込む必要はないのではないかと感じています。

 

医師や医学生をみても、体力がなかったり、人と話すのが得意ではなかったり、学生時代に責任感があまり芽生えていない、といった人はいます。全てを兼ね備えているスーパーマンのような人物もごく稀にいますが、決してそのような人ばかりではありません。

 

自分が診療を受けた時を考えてみると、すべての医師がコミュニケーション能力が高い訳ではない、というのは何となく想像できるかと思います。医師の中にもいろいろな人がいますから、医学部受験生が「医師の適性」をクリアしていなければ医学部に入れないということはありません。

 

大学のオープンキャンパス等で「求められる医師像」についての話を聞くと、どうしてもハードルが上がってしまうと思います。しかし、そこで語られるのは大抵の場合、大病院で働く臨床医としての「理想の医師像」です。

 

医師には、臨床医以外にも、研究医、厚生労働省で働く官僚、企業で働く産業医など、様々な働き方があります。臨床医であっても、診療科や病院によって雰囲気は全く異なります。ひとくくりに「医師の適性」というには無理がありますし、全員が「理想の医師像」に当てはまる必要もないので、肩の力を抜いて考えるとよいでしょう。

面接小論文対策は短期間で行う

面接小論文試験に特別な対策は必要なく、最低限のポイントを押さえていくことが大切です。

 

多くの医学部では学科試験の順位が重要視されており、基本的に学科試験の点数順に合否が決まります。面接小論文試験での点数の差はほぼなく、よほど不適切な発言や態度を取った学生のみ不合格にするという形で行われています。

 

このような試験では、面接小論文試験でどんなにいい印象を与えようと特に合否には影響せず、学科試験で1点でも多く得点することが重要と言えます。

 

一部の大学では、面接小論文の内容を重視し、合否に影響している場合もあります。それでは、面接小論文試験を重視している大学の場合、試験対策に時間をかけるべきなのかというとそうではありません。

 

なぜなら、本当に面接を重視されると小手先のテクニックや事前の対策が通用しなくなるためです。

 

例えば、医師志望動機などの典型的な質問には、ほとんどの受験生がすらすらと答えられるので差はつきません。

 

しかし、典型的でない質問をすると、その受験生の考える力や自分の考えを相手に伝える力は簡単に分かります。事前に想定した質問の範囲を超えた途端に何も言えなくなったり、不適切な発言をしたりすると、面接官はすぐに見抜きます。

 

受験生の考える力や対応力、判断力を試しており、これらはテクニック的に身につくものではありません。面接小論文を重視している大学ほど、事前に対策がしにくい、もしくは事前対策に効果がないような出題をする傾向にあります。

 

小論文試験でも全く同じことが言えます。

 

小論文では国語力や文章力が評価される印象がありますが、医学部の小論文試験は国語の問題ではありません。

 

卒業生の中には文章を書くのが非常に苦手な方もいますが、小論文が原因で不合格になったケースはなく、逆にいくら文章がうまくても学科試験の得点が不十分だと合格は困難です。

 

最低限守るべきポイントをおさえていることが大切であり、面接小論文対策に時間をたくさん割くよりも、学科試験の点数を少しでも上げた方が合格可能性は高くなります。

 

そもそも私立医学部では、学科試験である一次試験に合格しなければ面接小論文試験を受ける機会すら用意されません。面接小論文に時間を使いすぎた結果、学科試験がおろそかになるようでは元も子もないので、学科試験対策を最優先に考えましょう。

 

 

【執筆】綿谷 もも

医学部医学科卒。数学が大の苦手で、高3の冬に受けた模試では偏差値39を取ってしまうほど。エースアカデミーで1年間浪人し、センター試験本番で90%以上を達成、関東の難関国立医学部、難関私立医学部に合格。

医学部入学後はエースアカデミーの医学生講師として6年間受験生を指導し300人以上の医学部合格に貢献。その経験をもとに、医学部在学中に書籍『医学部受験バイブル 現役医大生からの贈り物』を執筆、出版。将来の夢は小児科医。アイドルと猫が好き。

 

【監修】高梨 裕介

医学部予備校エースアカデミー 塾長、医師

医師/大阪医科大学卒、初期研修修了後に創業。

中学受験経験(灘、東大寺、洛南、洛星中学に合格)。

自身の医学部受験の反省を活かし、350名以上の医学部合格者を指導。医学部合格のためのよりよい指導をより安く提供することを理念としてエースアカデミーを設立。

 

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※本連載は、綿谷もも著・高梨裕介監修の書籍『医学部受験バイブル 現役医大生からの贈り物』(幻冬舎ルネッサンス)より一部を抜粋し、記事化したものです。

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綿谷 もも(著)
高梨 裕介(監)

幻冬舎メディアコンサルティング

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