(※写真はイメージです/PIXTA)

※本稿は、チーフリサーチストラテジスト・石井康之氏(三井住友DSアセットマネジメント株式会社)による寄稿です。「アジアリサーチセンター」のレポートを基に、2024年1月のアジア・マーケットを振り返ります。

 

2024年2月のアジア・マーケット・マンスリー(前半)はコチラ>>

インド<金融市場動向>

⇒株式は底堅い動き、金利はもみ合い、ルピー安リスクに留意。

 

【株式市場】

◆大手民間銀行の株価が下落

インド株式市場は、23年12月のCPIが市場の事前予想を下回ったものの、大手民間銀行の第3四半期決算が低調となったことなどが嫌気された。外国人投資家は売り越し。引き続き、インドは安定的な経済成長が期待できることや、地政学リスクが限定的であることなどから相対的に底堅い値動きになると想定する。

 

SENSEX指数

 

【債券(国債)市場】

◆債券利回りはもみ合い

これまで実施された利上げによる今後のインフレ見通しや景気実態に対する効果や影響を見極める動きが続くとみる。財政政策にサポートされ堅調な景気状況が継続しやすいが、利下げ実施が視野に入っていくことで、インド国債利回りはもみ合いながら緩やかに低下余地を探る展開を想定する。

 

10年国債利回り

 

【為替市場】

◆ルピー安リスクに留意

米国の利下げ観測が浮上している状況では、ルピーの対米ドルレートは上昇しやすくなろう。しかし、1月の米雇用統計が市場予想を上回る堅調な内容であったことから短期的には米ドル上昇リスクに留意したい。一方、日本が金融引き締めに転じるとしても長期化しないとの前提に立てば対円での下落リスクは限定的だろう。

 

為替レート

インド<マクロ経済動向・政策>

⇒景気堅調が続く

 

◆総合PMIは引き続き50超え

1月の総合PMIは61.2と、50超えの高水準となった。景気センチメントは明確に改善傾向を示している。製造業PMIは12月の54.9から1月には56.5へ上昇し、引き続き50超えである。サービス業PMIは12月の59.0から1月には61.8へ上昇し、消費センチメントが一段と改善したことを示唆した。インドでは2024年前半に総選挙が開催される可能性が高く、選挙活動は消費センチメントにプラスに作用するだろう。当面、景気堅調を見込む。

 

PMI

 

◆インフレ率はすでに沈静化

12月の消費者物価上昇率は前年同月比+5.7%と、目標レンジに収まった。10月下旬から上昇した玉ねぎ価格は、11月下旬には下落に転じ、その後、安定している模様である。家計の期待インフレ率の上振れリスクは限定的となり、金融政策スタンスは変わらないだろう。一方、期待インフレ率の上振れリスクがあるとすれば、原油価格の上昇だろう。中東情勢次第では原油価格の上昇は起こりうる。

 

消費者物価上昇率

 

◆拡張型だが財政再建を目指す内容

政府は2024/25年度の予算案において、景気支援型の歳出を組むと同時に財政再建も目指す内容を示した。資本支出(公共投資)の予算案を2023/24年度の政府着地予想と比較すると+16.9%と引き続き2桁増である。一方、景気堅調から歳入も堅調であるため、財政赤字のGDP比を5.1%と設定し、23/24年度の政府着地予想の5.8%から縮小する形に設定した。政府は25/26年度までに財政赤字のGDP比を4.5%より縮小する方針も発表した。利払い費が23/24年度の政府着地予想に対して+12.8%と2桁増に設定されていることから、インドで利下げが行われるにしても、財政赤字の拡大リスクには政府は慎重な姿勢をとるだろう。

 

政府予算案

ベトナム ←ピックアップマーケット

⇒株価は持ち直し、ドン安リスクに留意

 

【株式市場】

◆中央銀行が信用残高の伸び率目標を発表

ベトナム国家銀行(中央銀行)が2024年の信用残高の伸び率目標を前年比で15%にすると発表したことなどを受け、金融関連株が上昇。海外からベトナムへの直接投資関連では、韓国のコングロマリットであるヒョソン・グループがベトナムでの投資額拡大を計画していると報じられたほか、世界的な食品飲料会社であるネスレがベトナム工場における生産能力増強に向けた追加投資を発表した。外国人投資家は買い越し。バリュエーションは割安であり、不動産市場における流動性が改善すれば回復が期待される。投資戦略としては、海外企業によるベトナム進出の恩恵が期待される銘柄、若い人口構成と所得増加の後押しがある消費関連銘柄、ツーリズム関連銘柄などが長期目線で有望視できそうだ。

 

VN指数

 

【為替動向】

◆ドン安リスクに留意

米国の利下げ観測が浮上しつつあるため、ドンの対米ドルレートには上昇余地があろう。年明け以降、外国人投資家による株式売買が買い越し基調に転じていることからドンは安定に向かうと見込む。一方、1月の米雇用統計が市場予想を上回る堅調な内容であったため、短期的には米ドル上昇リスクに留意したい。

 

ベトナムドン

 

【マクロ経済動向】

◆2月のデータ待ち

1月の製造業PMIは50.3と、2023年8月以来の50超えに転じた。ベトナムでは他の多くのアジア諸国・地域と同様に、旧正月休暇が2024年には2月に予定されているため(2023年には1月)、貿易、生産関連の前年同月比はベース効果によって1月に加速、2月に減速する可能性がある。1-2月の景気モメンタムを判断するには2月の経済指標が揃うまで待つべきだろう。

 

月次主要経済指標

 

 

(2024年2月7日)

 

石井 康之

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

チーフリサーチストラテジスト

 

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。

※上記の見通しは当資料作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。今後、予告なく変更する場合があります。

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『ベトナム株は持ち直し、ドン安リスクに留意 ~先月のアジア・マーケットを振り返る【解説:三井住友DSアセットマネジメント】』を参照)。

 

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