近年増えている公益団体や国・地方公共団体等への寄付
ここ数年、「遺産を社会貢献のために寄付したい」と考え、自分の財産を配偶者や子どもなどの法定相続人だけでなく、公益団体や国、地方公共団体に寄付する人が増えてきています。
「少子高齢化で遺産を残す相続人がいない」「東日本大震災をきっかけに寄付の文化が定着してきた」などの理由からです。
財産の一部を、国や地方公共団体などに寄付した場合、寄付した金額は「相続税の課税対象としない」「寄付した金額を相続税の課税対象から外す」という特例があります。
また、相続、または遺贈(遺言により相続財産を受け取ること)により財産を受け取った側が寄付をしても、この特例を受けられます。
この特例の適用を受けるには、以下の要件をすべて満たす必要があります。
【特例の適用要件】
(1)相続または遺贈により取得した財産を寄付すること
(2)寄付をした先が国や地方公共団体、教育や科学の振興などに貢献する公益法人であること
(3)相続税の申告期限(相続開始後10カ月以内)までに寄付すること
生前に「あげます/もらいます」という契約を結んでおく
寄付には、2つの方法があります。
「遺贈」と「死因贈与」です。
「遺贈」は、遺言書をつくる方法です。
遺言書をつくっておけば、法定相続人以外にも遺産を相続させることができます。
ただし、遺贈は遺言が公開されてからその内容が知らされるので、法定相続人が納得をせず、もめ事になる可能性があります。また、寄付先が「財産は不要」だとして権利を放棄すれば、寄付が行われなくなってしまいます。
一方の「死因贈与」は、相手の承諾が必要な契約です。
「遺贈」は受け取る側の意思に関係なく行われますが、「死因贈与」は、「私が死んだら◯◯◯◯円を贈与する」といったように、生きているうちに贈与契約を結びます。
「あげます」「もらいます」という契約を結んでおけば、そのとおりに寄付が行われます。自分の遺産を寄付したい場合は、「死因贈与」のほうが確実でしょう。