空室を埋めるには「営業マンの推薦」が欠かせない
リーシング活動のステップ1で、対象となるすべての賃貸仲介会社に商品(空室情報)を置くことができました。しかし、商品(空室)が店頭にあればそれで売れる時代ではありません。他にも同じような商品(空室)が山のようにあるのです。その中であなたの商品(空室)がどうやったらお客様に選んでもらえるでしょうか?
結論から言えば、営業マンに推薦してもらうしかないのです。たとえば、あなたが炊飯器を買おうとして家電量販店に行きます。その時にまず店員の方に声をかけ炊飯器を買いたい旨を伝えれば、店員からは予算を聞かれ、2、3の商品を薦められるはずです。
そして、よっぽどのことでない限り、あなたはそのお薦めの商品を購入することになるでしょう。もちろん、ブランド化されている商品は別ですが、ブランド化されていない炊飯器のような白物家電は、店員の推薦によって決定している場合がほとんどではないでしょうか。
空室も同様です。この部屋に住みたいと言って入居希望者が指名してくれる物件はまず稀です。ほとんどが他と差別化できない部屋なのです。その場合においては営業マンの推薦が欠かせません。数ある空室の中からいかに賃貸仲介の営業マンから入居希望者に対して薦めてもらうか。これが、空室が埋まるかどうかを決めるカギとなります。
「何人の入居希望者に見てもらったか」がカギ
当社が重要視している点として、賃貸仲介会社の優秀な営業マンを味方につけ、積極的に入居希望者に紹介してもらうということが挙げられます。
賃貸仲介会社にとって、紹介できる物件が山のようにあるこの大空室時代において、その中から、窓口に来た入居希望者に紹介できる物件は、せいぜい3、4物件といったところです。入居者を見つけるに当たっては、まず物件を紹介してもらえなければ始まらないことは、前回で述べた通りです。
そして、どの物件を紹介するかは、賃貸仲介の営業マン次第なのです。オーナーさんの立場(もしくは代理の立場)としては、いかに自分の(自社の)物件を紹介してもらえるような関係にするかが重要だということが、おわかりいただけたでしょうか?
次に、営業マンに推薦してもらうための方法をお話しする前に、賃貸仲介の現場の話をお伝えします。それは、案内数がなければ空室は埋まらないということです。空室は実際に見てもらわなければ申し込み、契約に至りません。どの商品でも手に取ってもらうことが重要なのです。あなたが洋服を買いに行って試着してから購入するのと同じです。これが物件の案内というものの本質です。
まずは店頭で営業マンに推薦してもらって、次に部屋を見てもらう。このプロセスが空室を埋めるために重要です。その大前提として、「何人の入居希望者に見てもらったか」つまり案内数がカギになるということです。
新規入居者の数(成約数)は次の式で決まります。
「成約数最大化」の方程式
入居者数(成約数)=案内数× 歩留率
その物件に何人の案内が入ったかという「案内数」に対する成約率を表す「歩留率」をかけた数字が、成約数になります。要するに、案内数を増やして、歩留率を上げることが成約数を上げることにつながるわけです。
当社の事例では、空室が埋まらない理由の多くは、その部屋にほとんど入居希望者が案内されていないということです。つまり、入居希望者(お客様)に紹介されずに、部屋(空室)が見られていないのです。そのため、いくらリフォームしても最新設備を導入しても一向に入居者が決まらない状況になっているのです。いくら立派な商品を作ってみたところでお客様の手に取ってもらえなければその価値はわかりません。
空室を埋めるには、案内数を増やすことが絶対条件なのです。歩留率に関しては、一般的には20%前後が業界における平均の数字と言われています。5件案内すれば1件決まるということです。反対に言えば、空室が続いている状態の部屋は、まず5件案内できていないケースが多いのですが、それでは成約に至らないのは当たり前のことです。
もし5件案内しても決まらない場合は、その部屋の歩留率を通常のものより下げている原因が、何か物件等にあるのではないかと考える必要があるでしょう。
先ほどの例で言えば、商品は手に取られているけれども購入に至っていないという状況ですので、商品そのものに原因があることを考える必要があるということです。ただし、この案内も前項で説明した営業マンの推薦がある場合とない場合では、成約率に大きな差が出ることは明らかです。案内があるだけで、すぐに成約が決まるほど甘くはありません。
優秀な営業マンの「決め物件」にしてもらう
案内される物件の中に入るのが必要条件だとすると、十分条件として、「決め物件(本命物件)」という位置付けにしてもらう、という点が挙げられます。案内をされて「この物件はお薦めですよ」と言われるのと「次に見る物件の方がいいですよ」と言われるのでは歩留率に雲泥の差が出ます。
極端な例ですが、優秀な営業マンというのは、お客様に対して、物件紹介の段階から「どの物件に決めるか(決めてもらうか)」をあらかじめ考えた上で物件の紹介をしています。
ABCDの4物件を紹介するとして、極端な話、Aに決めることを前提にBCDを紹介しているということです。Aが一番良い物件に見えるように、Aより劣る他の3物件をピックアップしているということです。この場合、Aが「決め物件」となり、BCDは「当て馬物件(当て物件)」となります。
他社に管理を委託していたり自主管理したりしているオーナーさんの中には、よく「自分の物件に案内はあるのですが決まりません」と言ってご相談に来られる方がいらっしゃいます。その方の物件は「当て馬物件(当て物件)」にされている可能性が高いと言えるでしょう。
自分の物件が「当て馬物件(当て物件)」であれば、いくら案内されたとしても絶対に入居者は決まりません。ちなみに、当社の歩留率は45%程度と大変高いものとなっています。これは営業マンから推薦される仕組みをしっかり構築していることが大きな要因であるのは、言うまでもありません。
もちろん、営業マンからの推薦だけではなく、部屋を魅力的なものにするのも大切な要素のひとつです。いくら案内をして営業マンから薦められても、ボロボロの部屋では申し込みは入らないでしょう。決まりやすい部屋(物件)を作ることが重要です。
また、営業マンは、そもそも明らかに問題のある部屋を案内したがりません。案内しても断られるのがわかっているから、無駄になってしまうためです。そういう意味でも、部屋をきちんと整えることは最低条件です。