アメリカの個人寄付額は日本の30倍
2022年9月、アウトドア用品大手、パタゴニアの創業者であるイボン・シュイナードが本人と家族で保有する同社の発行済み株式の全て(30億ドル)を環境NPOなどに寄付したことが話題になりました。
著名投資家のウォーレン・バフェットも個人資産の99%以上を占めるバークシャー・ハサウェイの持ち株47万4,998株を全て寄付すると表明しており、アマゾン・ドット・コムの創業者で会長を務めるジェフ・ベゾスも1,240億ドルにのぼる個人資産の大半を寄付する意向を発表しています。
アメリカではマイクロソフトの創業者、ビル・ゲイツらが社会貢献キャンペーン「ギビング・プレッジ」を立ち上げ、世界の富豪に資産の半分以上を慈善活動に寄付することを呼びかけるなど富裕層の寄付が盛んです。『寄付白書2021』(日本ファンドレイジング協会)によるとアメリカの個人寄付額は34兆5,948億円にのぼり、日本の約30倍です。名目GDP比で見ても人口1人当たりの寄付額で見てもケタ違いの規模となっています。
このようにアメリカ人は多額の寄付をしていますが、その背景にあるものは一体何なのでしょうか?
アメリカ人が多額の寄付をする理由
まず1つに宗教的な背景があります。キリスト教の精神の1つに「富める人は貧しい人に分け与えるべき」というものがあり、ユダヤ教でも戒律の中で慈悲を挙げています。このように根底には神の教えに沿って寄付をするという部分があります。
また貧富の差が大きいことも要因の1つです。ご存じのようにアメリカにはGAFAMの創業者や前述のバフェットのような投資家など想像を絶する富豪がいる反面、貧しい生活をしている人々もたくさんいます。そんな状況を目の当たりにして人として自分だけ良ければいいのか? と考えることもあると思います。
ビル・ゲイツが、過去テレビのインタビューで寄付について質問され、「消費には限度があり、本当に自分が価値があると思えるものが何なのかを、考えなくてはいけない」とコメントしています。
以前ある富裕層の方が資産が10億円を超えるあたりから資産が増えることによる効用は低下するし、生活水準もあまり変わらなくなってくると聞いたことがあります。実際、個人資産が1,000億円でも2,000億円でも生活は変わらないと思うので、いかにして人のためにお金を使うべきかと考えるようになりそうですね。
このように宗教的・格差の背景から寄付をすることが文化として根付いているのだと思います。アメリカを旅行すると分かりますが、学校、図書館、研究所、美術館、博物館など、寄贈者の名前が付いた建物がとても多いです。日本だとそういうことをすると時に「売名行為」と揶揄されることがありますが、アメリカでは教育や芸術を支援し、名前を記すということが名誉であり賞賛されるべきことなのです。
なおアメリカでは前述のような富豪の寄付が話題になりますが、実は一般人も日常的に寄付を行っており、約90%の家庭が慈善事業に寄付をしているそうです。お金があるから寄付をするというよりも寄付をすることが文化になっています。
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