退職金3,000万円を心待ちにしていた60歳・大企業部長、早く受け取りたくて…まさかの減額!後悔の理由【FPが解説】

退職金3,000万円を心待ちにしていた60歳・大企業部長、早く受け取りたくて…まさかの減額!後悔の理由【FPが解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

「定年退職すれば退職金が支給される」というのは、当たり前ではない時代になりました。なかには退職金がない企業もあります。一方で、退職金がある企業に勤めてきたサラリーマンは、心待ちにしている人も多いでしょう。しかし、安心してはいけません。受け取りのタイミングを誤ると、思わぬ落とし穴が……。本記事では、Dさんの事例とともに、退職金受け取り時の注意点についてFPの牧元拓也氏が解説します。

手続きひとつで思わぬ落とし穴が…

退職金支給を心待ちにしていたあるとき、新卒のころから一緒に働き続けた同期のGと久しぶりに飲みにでかけ、退職金の使い道について話があがりました。そのとき、Dさんはショックな事実を知ることになりました。

 

同期G「退職金の受け取りって順番を考えるのが大切だよね」

 

「え、なにそれ?」Dさんは一気に酔いがさめました。

 

同期Gにいわれ、詳しく調べてみると、一括で退職金を受け取る際には3つのパターンがあることがわかりました。

 

(1)退職金と確定拠出年金を一緒に受け取る

この場合が先ほど計算したもの。勤続年数か確定拠出年金の拠出年数の、どちらか長いほうを使って計算します。Dさんの場合は勤続年数のほうが長いので上記のような計算になります。

 

(2)退職金を先に受け取り、確定拠出年金をあとで受け取る

退職金で退職所得控除を利用すると、年間は年数に応じた控除の適用が受けられず、80万円の控除が適用されます。

 

(3)確定拠出年金受け取り、会社の退職金をあとで受け取る

5年以内に再び受け取る場合は、勤続年数の重複期間を除いて退職所得控除額が計算されます。確定拠出年金で退職所得控除を利用後に5年以上期間をあけると退職金でも勤続年数に応じた退職所得控除が利用できます。

 

Dさんは(2)・(3)を自分に当てはめて恐る恐る計算してみました。

 

(1)

60歳で3000万円受け取り
退職所得控除:2,060万円
退職所得  :470万円
所得税   :51万2,500円
住民税   :47万5,000円
税引き後受取額 2,901万2,500円

 

(2)

60歳で退職金を受け取り
退職所得控除 :2,060万円
退職所得   :220万円
所得税    :12万2,500円
住民税    :22万5,000円
税引き後受取額 2,932万5,000円

61歳以降に確定拠出年金を受け取り
退職所得控除 :80万円
退職所得   :210万円
所得税    :11万2,500円
住民税    :21万5,000円
税引き後受取額 2,932万5,000円

 

(3)

65歳以降で退職金を受け取り
退職所得控除 :2,060万円
退職所得   :220万円
所得税    :12万2,500円
住民税    :22万5,000円
税引き後受取額 2,965万2,500円

60歳で確定拠出年を受け取り
退職所得控除 :800万円
退職所得   :0万円
所得税    :0円
住民税    :0円
税引き後受取額 2,965万2,500円​

 

このなかで、Dさんは(1)のパターンで計算していました。しかし、同期のGから教えられ、(2)・(3)を自分に当てはめて計算してみると、受け取りの差額は(1)と(2)で31万2,500円、(1)と(3)で64万円になりました。

 

「後悔しています。受け取り時期をずらすだけでこんなに違うなんて。もっと調べておけばよかった」

 

Dさんの別荘の別荘計画は実行できるかもしれませんが、受け取り方を工夫することで、もっと使えるお金に余裕を持たせることができたかもしれません。

 

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