退職金3,000万円を心待ちにしていた60歳・大企業部長、早く受け取りたくて…まさかの減額!後悔の理由【FPが解説】

退職金3,000万円を心待ちにしていた60歳・大企業部長、早く受け取りたくて…まさかの減額!後悔の理由【FPが解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

「定年退職すれば退職金が支給される」というのは、当たり前ではない時代になりました。なかには退職金がない企業もあります。一方で、退職金がある企業に勤めてきたサラリーマンは、心待ちにしている人も多いでしょう。しかし、安心してはいけません。受け取りのタイミングを誤ると、思わぬ落とし穴が……。本記事では、Dさんの事例とともに、退職金受け取り時の注意点についてFPの牧元拓也氏が解説します。

最新の制度を確認しよう

会社からの退職金については、会社の個々の規定等で受け取り時期について制限がある可能性があるため、前述の(1)・(2)のどちらかのパターンになる人が多いと思われます。

 

また、2022年4月に確定拠出年金の一時金受取期間が5年延長され、60歳~75歳までとなりました。さらに、これに伴い、確定拠出年金を一時金で受け取る以前「19年以内」に退職金を受け取っていた場合、雇用期間と確定拠出年金の加入期間の重複部分は退職所得控除額が減額されるようになったのです。

 

つまり、定年60歳で退職金を受け取り、運用期限である75歳で確定拠出年金の一時金を受け取るような通常考え得るケースでも、退職所得控除は満額適用されません。

 

定年後は再雇用で給与の減少、退職後は年金生活となるため、なるべく税金を抑えて受け取り金額を大きくしたいところです。 受け取りのタイミングを少し工夫するだけで、受取金額に差が出ます。

 

確定拠出年金は受け取り時期を遅らせると、拠出した資産は受け取りまでのあいだ運用されるので、使う理由がなければまとめて受け取らずに、遅らせることもひとつの手です。

 

しかしなるべく資産を増やすために75歳まで遅らせても、何歳まで生きるか、何歳まで元気でいられるかは誰にもわからないため、使い切れずに亡くなってしまう可能性もあります。

 

そのため、無理に遅らせずにあらかじめ老後のライフプランを組んで受け取り時期を設定しておいたほうがいいでしょう。

 

老後の資金計画に不安が残る人も多くいるのではないでしょうか。 Dさんのように受け取ったあとで後悔することにならないように、事前に確認しておくことが必要です。 退職金制度を理解したうえで、老後のお金について対策する必要があるのか、考えてみましょう。

 

関係する法令・制度をすべて理解するのは難しいですが、専門家や書籍などで最低限の知識をつけることは、長い老後を安心して暮らすために必要ではないでしょうか。

 

 

牧元 拓也

ファイナンシャルプランナー

株式会社日本金融教育センター

 

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