●日銀は今回政策据え置きへ、展望リポートでは2024年度コアCPI見通しが下方修正される模様。
●注目は植田総裁発言、直近で今春の賃金改定と賃金のサービス価格への反映を注目点と指摘。
●植田発言が従来通りなら小幅で一時的な円安か、弊社は4月にマイナス金利解除の見方を維持。
日銀は今回政策据え置きへ、展望リポートでは2024年度コアCPI見通しが下方修正される模様
日銀は1月22日、23日に金融政策決定会合を開催します。市場の関心は、引き続きマイナス金利の解除時期に集まっており、以下、今会合の注目ポイントを整理します。はじめに、当面の金融政策の運営について、弊社は大方の見方と同じく据え置きを予想しています。前回、2023年12月18日、19日開催の会合で、解除に関する明確な手掛かりは示されておらず、解除を急ぐ理由も乏しいことから、サプライズはないとみています。
次に、今会合で公表される「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、生鮮食品を除く消費者物価指数(コアCPI)の新たな見通しが焦点となります。前回、10月31日時点におけるコアCPIの前年度比伸び率の見通しは図表1の通りですが、各社報道によると、2024年度は2%台半ばへ下方修正され、2025年度は日銀が目標として掲げる2%に引き続き届かない模様です。
注目は植田総裁発言、直近で今春の賃金改定と賃金のサービス価格への反映を注目点と指摘
金融政策の据え置きや、事前報道程度のコアCPI見通しの下方修正は、すでに織り込み済みと思われ、市場への影響は限定的と考えます。そのため、多くの市場参加者は、1月23日の会合終了後に開催される植田和男総裁の記者会見から、マイナス金利の解除時期に関するヒントを探ることになるとみています。そこで、直近の植田総裁の発言を振り返ってみます(図表2)。
植田総裁は、「物価安定の目標」の実現確度について、「少しずつ高まってきていますが、現時点ではなお十分に高いわけではない」と述べ、「春季労使交渉で、はっきりとした賃上げが続くかが重要なポイント」と指摘しました。また、今春の賃金改定と、賃金のサービス価格への反映に注目しているとし、「今年(2023年)の春と同じか、それを少し上回るくらいの賃上げが決定されると望ましい」と発言しました。
植田発言が従来通りなら小幅で一時的な円安か、弊社は4月にマイナス金利解除の見方を維持
植田総裁の注目点の1つである賃金改定については、3月中旬の春季労使交渉の集中回答を経て、賃上げ率の具体的な数字が確認されることになるため、明日の記者会見では従来の見解が繰り返され、目新しい材料は得られない可能性が高いと思われます。この場合、ドル円相場は円安の反応が予想されますが、緩和強化ではないため、小幅で一時的なものになるとみています。
弊社は日銀が3月中旬以降に賃上げ傾向の継続を確認した上で、4月25日、26日の金融政策決定会合において展望リポートを改定、「物価安定の目標」の実現確度が高まったと判断すると予想します。同時に、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の撤廃と、マイナス金利の解除を決定し、マイナス金利解除後は当面ゼロ金利政策を続けると考えています。
(2024年1月22日)
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『【日銀会合】政策は「据え置き」を予想 植田発言が「従来通り」なら小幅で一時的な円安か(解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト)』を参照)。
市川 雅浩
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
チーフマーケットストラテジスト
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