世界銀行とムーディーズによる、2024年「アジア」「フィリピン」の経済見通し

1月22日週「最新・フィリピン」ニュース

世界銀行とムーディーズによる、2024年「アジア」「フィリピン」の経済見通し
写真:PIXTA

一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏が、フィリピンの現況を解説するフィリピンレポート。今回は、世界銀行とムーディーズが、2024年、フィリピンとアジア経済をどのようにみているのかみていきます。

 

世界銀行「フィリピンの安定的な経済成長」を予測

世界銀行(WB)は、2024年、東南アジアでフィリピンが最も高い経済成長率を達成する国の一つになるとしていましたが、最新のグローバル経済見通しにおいて、フィリピンの国内総生産(GDP)は5.8%拡大すると予測。これは、昨年12月のものと同様です。

 

フィリピンの経済成長は東南アジアのなかで最も高く、カンボジア(5.8%)と並び、ベトナム(5.5%)、インドネシア(4.9%)、マレーシア(4.3%)、ラオス(4.1%)、東ティモール(3.5%)、タイ(3.2%)、ミャンマー(2%)を上回っています。ただし、これは2024年のフィリピン政府機関・発展予算調整委員会(DBCC)の成長目標である6.5~7.5%には及びません。

 

フィリピンの成長予測は、東アジア・太平洋地域全体の4.5%を上回ります。WBは、中国の経済活動の減速により、この地域全体の成長が鈍化するだろうとしています。成長見通しの他のリスク要因としては、中東の地政学的緊張による原油価格上昇が世界の貿易に停滞をもたらすこと、金融引き締めの継続、気候関連の災害の発生を挙げています。

 

国立経済開発庁(NEDA)のバリサカン長官は、エルニーニョが農業部門に影響を与え、食料価格の上昇を引き起こす可能性があると述べています。一方でWBは、減速するインフレや活発なサービス活動に支えられた強力な労働市場が家計支出を維持する見込みがあるとして、東アジア・太平洋地域では堅調な国内需要が成長を促進する可能性があるとしています。

ムーディーズ「アジア太平洋地域」の信用格付けをネガティブに

ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、中国経済の減速、弱い外部需要、グローバルな信用状況の制約により、2024年のアジア太平洋地域の信用格付けの見通しをネガティブとしています。

 

まず注目すべきは、フィリピンと中国の南シナ海を巡る紛争が拡大する可能性があり、それがアジア太平洋地域全体に広がる影響を持つ可能性があること。中国とフィリピンの緊張はマルコス政権下で増しています。2016年には、国際連合支援のもとでの仲裁裁判所が中国の南シナ海へのほぼ全体的な主張は法的根拠がないと結論づけましたが、北京はその判決を無視し、島の建設活動を継続しているのです。

 

ほかにも北朝鮮と韓国間の敵対行動の可能性や、インドネシアとインドの選挙など、アジア太平洋地域におけるいくつかの地政学的リスクにも注目が集まります。

 

中国のGDPは、2023年の4.2%成長から、2024年と2025年には4%成長に減速すると予想。さらに米国とヨーロッパの成長が鈍化することでアジア太平洋地域の輸出は弱体化する可能性も指摘しています。

 

一方で、フィリピンの安定した国内消費は、中国経済の減速、グローバルな需要の低迷、資金調達の制約といった要因の影響を和らげるであろうと述べています。

 

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※当記事は、情報提供を目的として、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングが作成したものです。特定の株式の売買を推奨・勧誘するものではありません。
※当記事に基づいて取られた投資行動の結果については、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティング、幻冬舎グループは責任を負いません。
※当記事の比較するターゲット株価は、過去あるいは業界のバリュエーション、ディスカウントキャッシュフローなどを組み合わせてABキャピタル証券のプロアナリストが算出した株価を参考にしています。

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