過去14年の短期景気サイクルは「3年半で1回」
次に景気の短期的な循環をみてみます。
[図表4]で示すとおり、ISM景気指数のうち、【オレンジ色のライン】で示す製造業指数については、世界金融危機以降、「おおむね3年半で1サイクル」の景気循環を示しています。これに基づけば、そろそろ景気が上向いても不思議ではありません。
ISM製造業指数は「14ヵ月連続で50割れ」…普通なら“景気後退を脱している”頃
[図表5]で示すとおり、ISM製造業景気指数は直近12月分を含め、すでに14ヵ月連続して(経済活動の収縮を示す)「50割れ」となっています。これは同指数の算出が開始された1948年1月以降で、過去4番目の長さです。
「それだけ長いのだから、今回の停滞は深刻だ」と考えるべきなのかもしれません。
他方で、たとえば、[図表5]から過去の最長記録が「18ヵ月or19ヵ月連続」であったことを考えると、それぞれのケースにおいて「14ヵ月連続で50割れする頃には経済活動の停滞・低迷も終わりに差しかかっていた」と考えられます。
[図表6]では、ISM製造業景気指数の算出が開始された1948年以降の、12回の景気後退前後における同指数の軌道をとっています。
すると、【灰色のライン】で示す全12回のうち9回のケースでは、景気後退開始から15ヵ月すると、同指数は50を超えています。
また、全12回の平均値をとると(=【青色のライン】)、景気後退開始1ヵ月前に50割れをし、景気後退開始後14ヵ月で50を回復しています。
【オレンジ色のライン】は、今回の「50割れ」時点を、景気後退開始1ヵ月前に合わせたものです。そろそろ50を回復しても不思議ではありません。