大手の不動産会社でも区分マンションの売買は専門外!?
前回に引き続き、注意すべき不動産業者について見ていきます。
誰もが知るような財閥系や電鉄系の大手不動産業者や、地場に根付いている老舗不動産業者は、難しい権利関係であってもしっかり調査をして、クリアしてくれる体制があります。しかし区分マンションの売買について言えば、彼らの専門外です。圧倒的に経験値が不足しています。
もちろん、法令をしっかり守ってくれるので、信頼度が高いという利点はあります。「問題なく売ることができるか」については優秀でしょう。しかし、「高く売ることができるのか」については、長たけていないと言わざるを得ません。
その点、収益専門の区分マンションを扱っている業者は、そこに特化して情報を収集しています。ですから値付けや売却先探しに強い傾向があります。逆に言えば、調査力についてはいまひとつという会社もあります。こういった、業者ごとの得手不得手を把握するのは大切です。
100%すべてを満たした業者というのは、少ないものです。私の意見を言えば、普通に新築で購入した区分マンションを売却するのであれば、やはり専門の仲介会社が向いていて、これが相続で継いだ権利関係の難しい戸建て住宅といったようなケースでは、地場に強い大手業者や老舗業者が向いています。
やはり区分マンションの売却であれば、区分専門の仲介業者に任せるのがベストでしょう。営業マンとの相性、会社の実績、安心感、アフターフォローを見極めて、より良い業者を選んでいくのが重要です。中には、担当になった営業マンとそりが合わないこともあります。「この人はちょっと苦手だな」と思う営業マンが担当になった場合は、素直に「話が合わないので違う人がいい」と言って変えてもらいましょう。
会社の実績は「実際に手がけた件数」で判断
会社の実績を判断するのは、利益や売上ではなく、実際に手がけた件数です。不動産業界の中でも、仲介会社は、仲介手数料が主な収入源なので薄利です。
仲介の営業マンが5人いる会社より、30人いる会社のほうが、ランニングコストは高くなります。ランニングコストが高いということは、その分、件数実績がないと経営が回りません。つまり仲介会社は、従業員数に比例して、実績が多いということになります。
また、バックヤードが充実しているかどうかも軽視できません。たとえば私の経営する会社の従業員は70人ですが、そのうち営業が6割、非営業が4割です。非営業部門の人数がこんなに多いのは、安心安全な取引をするためです。基本的に分業制で、契約・決済は業務部という専門部署があります。
区分マンションの仲介では、必ず長期修繕計画や管理体制などを確認します。しかし実は、これを怠っている仲介会社も多いのが実情です。道路台帳をとらないところもあります。
やはり細かい物件調査をしっかりやってくれて、収益区分に特化している業者が一番良いでしょう。あとは実際にどのような出口戦略をもっているか、も確認が必要です。売主である不動産オーナーと、利害が一致していることが重要です。