前回は、築古物件を高額で売却するための「リフォーム」の実例を取り上げました。今回は、区分マンションの「売却ルート」について見ていきます。

区分マンションの売却ルートは大きく分けて「3つ」

売却するならば少しでも高く売りたい、というのが売主側の心理です。物件の売却方法はいくつかありますが、知識のない不動産オーナーがいきなり再販売をする買取会社に物件を持ち込んでも買い叩かれてしまいます。では、どのようなルートで売却すればいいのかを考えてみましょう。売却のルートは、大きく分けて3つあります。

 

【売却のルート】

 

●売買仲介会社

●買取会社

●個人間取引

 

1つ目は売買仲介会社です。

 

売買仲介を行う不動産業者は、本当に星の数ほどあります。その中でも、区分ワンルームマンションに特化した仲介会社のほうがいいでしょう。それは、より良い条件を引き出すことができるからです。

 

収益不動産を扱う仲介会社の中でも、アパートばかり取り扱っている会社は、区分マンションの「出口」を知りません。区分マンションは、とりわけ融資を受けられる金融機関が限られていますから、ファイナンスアレンジが可能な業者そのものが少ないものです。

 

2つ目は買取会社です。買取会社は商品として物件を仕入れて、そこに利益を上乗せした形でエンド投資家に売るのが仕事です。

 

一方、仲介会社の場合、売主と買主をつなぐことで、その仲介手数料が報酬になります。たとえば1000万円の区分マンションが、プラス200万円の1200万円で売れたとします。仲介手数料は取引額の3%+6万円以内なので、当初36万円が42万円に増えます。つまり、売買代金が上がれば上がるほど仲介手数料も高くなるため、仲介会社と売却オーナーの利害は一致しているわけです。

 

買取会社はその逆で、安く物件を仕入れることができれば、その分実入りが多くなります。つまり個人が物件を直接持ち込むと、やはり買い叩かれてしまう可能性が高いわけです。ただし現状は、市況から見ても、エンド投資家より買取会社に売ったほうが高く買ってくれるケースが多いです。

物件のデューデリジェンスを個人が行うことは難しい

3つ目は、個人間取引です。自分で区分マンションを売り出すというもので、Yahoo!とソニー不動産が共同で運営している「おうちダイレクト」(https://realestate.yahoo.co.jp/direct)という新サービスが代表格です。

 

これはインターネット上で、個人が物件募集から値付けまでの売り出しを行い、仲介手数料0円で不動産の個人売買ができるというものです。物件の契約や引き渡しの手続きは、ソニー不動産がサポートしてくれます。

 

賃貸不動産業界ではすでに仲介会社が減少しており、これまでの部屋探しの慣習が少しずつ変わってきています。

 

たとえば、部屋を借りたい人はインターネットで物件を見つけて、現地に直接行って自分で部屋を確認します。このように仲介会社を頼らず、元付業者と直接取引したほうが、手数料も0円で済むのでいい!という時代になっているのです。なお元付業者とは、売主側の業者のことを指します。

 

「仲介会社は、鍵を開けて案内して契約するだけ・・・。それだけで家賃1カ月分の手数料を払うなんて、バカらしい!」と、借主が気づいてしまったのでしょう。ソニー不動産は、こうした流れに先駆けて、個人間で不動産売買ができる場をつくったのです。

 

しかし、賃貸と売買で大きく違うのは、売買では物件のデューデリジェンスが必要不可欠ということです。しかし建物や設備などの物件調査は、個人が簡単にできるものではありません。賃貸とは比べものにならないほど、大きなリスクがあります。ネットオークションのような感覚で、気軽にすぐ売買できるとは思わないほうが安全でしょう。

本連載は、2016年8月13日刊行の書籍『その区分マンションは今すぐ売りなさい』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

その区分マンションは 今すぐ売りなさい

その区分マンションは 今すぐ売りなさい

渡邊 勢月矢

幻冬舎メディアコンサルティング

区分マンション投資にはリスクがあります。 たとえば新築で区分マンションを購入し、サブリース契約がついている場合。見掛け上家賃収入が入る状態でも、物件本来の収益性が低いケースがあります。また収益性向上のためどんな…

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