アフリカへの「支援」
「いくらだって喜んで話しますよ。いろんな人に知ってもらいたいんすよ」
口角を上げて笑う堂本の目が、糸のように細くなる。
彼はいちばん近くのハンガーラックからシャツを1枚とって、テーブルの上に広げた。シャツは赤、青、黄、緑などの原色の目立つ模様が描かれていた。
「僕は、アフリカのガーナっていう国の支援のために、これを作っているんすよ」
予想外だった。彼の口から「アフリカの支援」という言葉が出るとは思いもしなかった。見た目で判断したことを申し訳ないと思いながら、優斗はそのシャツを着ているアフリカ人の姿を思い浮かべた。
「それをアフリカに寄付しているんですか?」
「違うんすよ。彼らに寄付をするのは、逆にアフリカの発展をさまたげるんすよ」
堂本は切実な表情で、現地のことを詳しく教えてくれた。
「世界中から服が送られてくるせいで、特に西アフリカには高いお金を払って服を買う人がほとんどいません。現地で服を作っても売れないから、産業が発展しないんすよ。だから、アフリカで作った服を、日本に持って来て売っているんすよ」
熱心に耳を傾ける七海が、「なるほど」とあいづちを打つ。
「明治の近代化と同じことをされようとしているんですね。黒船が来航してから、日本が急速に成長したのも、繊維産業からでしたよね」
「そうなんすよ。それに、アフリカの文化とか伝統には本当に魅力を感じています。僕はそれを日本で伝えたいんすよ」
堂本はアフリカと日本に拠点を持って活動しているそうだ。
アフリカの工場では、現地の人たちに織り機やミシンの使い方を覚えてもらって、シャツやパンツを自分たちで作れるように導いている。
一方、日本では、作ったシャツやパンツを取り扱うお店を増やしたり、ネット通販で注文したお客さんにこの部屋から直接送るなどしていると話してくれた。
七海がしきりに感心している。
「私たちがアフリカに寄付するだけでは、長期的な解決にはならないんですね。それよりも、彼ら自身が生産できるようになれば、より持続的な未来につながっていきますよね」
優斗はハッとして、ボスの顔をうかがった。
「僕らが未来に蓄えるものって、このことですか」
ボスは、いかにも、と言わんばかりの顔をする。
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