入居者の保護が最優先で、大家の保護はされにくい
筆者も家賃を踏み倒された苦い経験があります。家賃を踏み倒した人は前オーナー時代からの入居者で、家賃保証会社にも入っていなかった人でした。
ファミリーで住んでいましたが、ある日リストラされてしまって職を失い、奥さんと離婚をして独り身になったことをきっかけに滞納が始まりました。
管理会社の店長が何度も訪問して状況確認すると、「もう少しで仕事が見つかるから、それまで待って」という同情作戦に出たのです。
店長は深く考えず、その言葉を鵜呑みにして期限まで待つことにしました。私もその報告を受けて、本当に回収できるのか念を押しました。すると、お人好しの店長は「大丈夫です」と答えるのみ。
それが半年経っても状況は変わらず、店長に何度も訪問してもらいました。結果、1年経っても1円すら回収できず、入居者に夜逃げされて音信不通となりました。
家賃6万円を1年間の滞納。それに大量の残置物……。原状回復にどれだけかかったか、思い出すのも嫌になる金額です。
それ以来、私は、滞納されて3か月目を目途に「調停から裁判まで、なんでもします!」というスタンスに変わったのです。日本の法律は入居者保護(弱者保護)の姿勢で、大家の保護はされにくい法律です。
なお、この夜逃げをした入居者は、その後、同じ市内の飲み屋で発見しました。毎晩のように夜遊びを繰り返していたようです。
100万円の家賃滞納をしても逮捕されない
家賃滞納の対処方法ですが、自力救済(法律上の手続きによらない追い出し行為)や強制退去は、絶対にやめてください。
具体的には賃貸物件内にある賃借人の荷物を勝手に処分したり、ドアを壊して入室したりすることは、不法侵入や器物損壊の罪に問われる可能性があるため、違法行為となります。自分の所有物件なので「問題ないのでは?」と思われるかもしれませんが、実際は入居者の居住権やプライバシーのほうが大切だということです。
10円の駄菓子を万引きしたり、数百円の牛丼を食い逃げしたら逮捕されます。しかし、100万円の家賃滞納をしても逮捕されないのです。結局のところ、金額の大小ではないということです。家賃滞納やトラブルが生じた場合には、きちんと法的な手続きを踏んで解決しなくてはなりません。
名取 幸二
株式会社ペスカトーレ
代表取締役
杉田 卓哉
一般社団法人マネー総合研究所
所長
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