マイナ保険証問題を解決する、超シンプルな方法
では、どのようにしてマイナンバー・マイナ保険証問題を解決して「マイナ保険証」利用率を高めていけばいいのでしょうか?
年金記録問題を踏まえて…
まず、最も重要なことは、紐付けをする際に氏名・性別・住所・生年月日の基本4情報を使うことをやめ、マイナンバー自体で紐付けをすることです。
なぜならば、先に述べたように氏名・性別・住所は変わる可能性がかなりあるからです。生年月日は変わらないものではありますが、たとえば氏名と生年月日で2情報では複数の人が存在する氏名と生年月日がかなりあることが年金記録問題の分析のなかでも判明しています。
マイナンバー情報総点検本部の総点検の最終的な取りまとめによれば、9月に各制度の申請時にマイナンバーの記載を求める旨を明確化する省令等改正を実施しています。
しかし、同時に原則基本4情報(氏名・生年月日・性別・住所)で照会方法についても「マイナンバー登録事務に係る横断的ガイドライン」の策定を行い、原則4情報でのマイナンバー照会以外は回答不可とするJ-LISの照会システム改修を12月に行うとしています。
このことから、この資料ベースでは、完全にマイナンバーのみでの紐付けでなく基本4情報(氏名・生年月日・性別・住所)での紐付けを今後も継続するようにも読み取れます。
筆者は、最も重要なことは、紐付けをする際に氏名・性別・住所・生年月日の基本4情報を使うことを今後は完全にやめ、マイナンバーのみでの紐付けに一本化するべきだと思います。
このことを明確化するためのも省令の改正だけでなくマイナンバー法を改正するべきでしょう。さらに、マイナンバーのみでの紐付け一本化は入力間違いなどを防止することにもつながります。
マイナンバー情報総点検本部の総点検の最終的な取りまとめによればマイナンバーカードからの自動読み取り機能を実装することで入力間違いなどに対応するとされています。しかし、そもそもマイナンバーには数字列の誤りを検知するために与えられる検査用の数字であるチェックデジットを含んでいるので打ち間違いがあれば判明するようになっています。
ですからマイナンバーに関連したすべてのシステムにチェック機能を入れて間違いは入力不可にして弾くようにすればいいだけなのです。自動読み取りよりもこちらのほうがはるかに安価で迅速に実装できるので効率的でしょう。
おわりに
筆者はマイナンバー情報総点検本部の総点検の最終的なとりまとめを読む限り、すでに事務方レベルでは、マイナンバー・マイナ保険証問題の本質的な問題点は理解され、省令改正などで現行法で可能な対応はされていると思います。
しかし、問題はさらに高いレベルにあります。ぜひ河野大臣には今後5年、10年先を見据えてより抜本的な法律改正を含めて政治レベルで検討していただきたいと思います。
<参考>
※ 日本年金機構のWebサイト(https://www.nenkin.go.jp/service/nenkinkiroku/torikumi/sonota/kini-cam/20150601-05.html)
三木 雄信
元日本年金機構 理事
トライズ株式会社 代表取締役社長
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