「マイナ保険証」の利用率わずか4%のなか強行される、保険証廃止…第2の「消えた年金」問題にさせない解決策【元日本年金機構・理事が解説】

「マイナ保険証」の利用率わずか4%のなか強行される、保険証廃止…第2の「消えた年金」問題にさせない解決策【元日本年金機構・理事が解説】

政府は2023年12月22日に1年の経過措置を経て、2024年12月2日に保険証の新規発行を止めることを閣議決定しました。しかし、健康保険証とマイナンバーカードが一体化した「マイナ保険証」利用率は伸び悩んでおり、むしろ2023年4月の6.3%をピークとして、10月には4.49%と低下の傾向すらみせています。このような現状の背景には、マイナンバー関連のトラブルが相次いだ結果、国民のあいだで不信感が広がっていることがあるでしょう。また、第2の「消えた年金」記録問題化するとの懸念の声すらあります。では、この問題の根本原因はどこにあるのでしょうか。年金記録問題と比較して元日本年金機構・理事の三木雄信氏が解説します。

マイナ保険証問題を解決する、超シンプルな方法

では、どのようにしてマイナンバー・マイナ保険証問題を解決して「マイナ保険証」利用率を高めていけばいいのでしょうか?

 

年金記録問題を踏まえて…

まず、最も重要なことは、紐付けをする際に氏名・性別・住所・生年月日の基本4情報を使うことをやめ、マイナンバー自体で紐付けをすることです。

 

なぜならば、先に述べたように氏名・性別・住所は変わる可能性がかなりあるからです。生年月日は変わらないものではありますが、たとえば氏名と生年月日で2情報では複数の人が存在する氏名と生年月日がかなりあることが年金記録問題の分析のなかでも判明しています。

 

マイナンバー情報総点検本部の総点検の最終的な取りまとめによれば、9月に各制度の申請時にマイナンバーの記載を求める旨を明確化する省令等改正を実施しています。

 

しかし、同時に原則基本4情報(氏名・生年月日・性別・住所)で照会方法についても「マイナンバー登録事務に係る横断的ガイドライン」の策定を行い、原則4情報でのマイナンバー照会以外は回答不可とするJ-LISの照会システム改修を12月に行うとしています。

 

このことから、この資料ベースでは、完全にマイナンバーのみでの紐付けでなく基本4情報(氏名・生年月日・性別・住所)での紐付けを今後も継続するようにも読み取れます。

 

筆者は、最も重要なことは、紐付けをする際に氏名・性別・住所・生年月日の基本4情報を使うことを今後は完全にやめ、マイナンバーのみでの紐付けに一本化するべきだと思います。

 

このことを明確化するためのも省令の改正だけでなくマイナンバー法を改正するべきでしょう。さらに、マイナンバーのみでの紐付け一本化は入力間違いなどを防止することにもつながります。

 

マイナンバー情報総点検本部の総点検の最終的な取りまとめによればマイナンバーカードからの自動読み取り機能を実装することで入力間違いなどに対応するとされています。しかし、そもそもマイナンバーには数字列の誤りを検知するために与えられる検査用の数字であるチェックデジットを含んでいるので打ち間違いがあれば判明するようになっています。

 

ですからマイナンバーに関連したすべてのシステムにチェック機能を入れて間違いは入力不可にして弾くようにすればいいだけなのです。自動読み取りよりもこちらのほうがはるかに安価で迅速に実装できるので効率的でしょう。

 

おわりに

筆者はマイナンバー情報総点検本部の総点検の最終的なとりまとめを読む限り、すでに事務方レベルでは、マイナンバー・マイナ保険証問題の本質的な問題点は理解され、省令改正などで現行法で可能な対応はされていると思います。

 

しかし、問題はさらに高いレベルにあります。ぜひ河野大臣には今後5年、10年先を見据えてより抜本的な法律改正を含めて政治レベルで検討していただきたいと思います。

 

<参考>

※ 日本年金機構のWebサイト(https://www.nenkin.go.jp/service/nenkinkiroku/torikumi/sonota/kini-cam/20150601-05.html

 

 

三木 雄信

元日本年金機構 理事

トライズ株式会社 代表取締役社長

 

2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>

 

注目のセミナー情報

​​【税金】11月27日(水)開催
~来年の手取り収入を増やす方法~
「富裕層を熟知した税理士」が考案する
2025年に向けて今やるべき『節税』×『資産形成』

 

【海外不動産】11月27日(水)開催
10年間「年10%」の利回り保証
Wyndham最上位クラス「DOLCE」第一期募集開始!

 

​​【事業投資】11月28日(木)開催
故障・老朽化・発電効率低下…放置している太陽光発電所をどうする!?
オムロンの手厚いサポート&最新機種の導入《投資利回り10%》継続を実現!
最後まで取りつくす《残FIT期間》収益最大化計画

 

2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」

 

■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ

 

■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】

 

■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

 

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録