「マイナ保険証」の利用率わずか4%のなか強行される、保険証廃止…第2の「消えた年金」問題にさせない解決策【元日本年金機構・理事が解説】

「マイナ保険証」の利用率わずか4%のなか強行される、保険証廃止…第2の「消えた年金」問題にさせない解決策【元日本年金機構・理事が解説】

政府は2023年12月22日に1年の経過措置を経て、2024年12月2日に保険証の新規発行を止めることを閣議決定しました。しかし、健康保険証とマイナンバーカードが一体化した「マイナ保険証」利用率は伸び悩んでおり、むしろ2023年4月の6.3%をピークとして、10月には4.49%と低下の傾向すらみせています。このような現状の背景には、マイナンバー関連のトラブルが相次いだ結果、国民のあいだで不信感が広がっていることがあるでしょう。また、第2の「消えた年金」記録問題化するとの懸念の声すらあります。では、この問題の根本原因はどこにあるのでしょうか。年金記録問題と比較して元日本年金機構・理事の三木雄信氏が解説します。

氏名などの不一致は139万件…深刻なマイナ保険証問題

一部の自治体で使われた点検を容易にするためのツールの使用実績から、別人への紐付けの可能性が高いものは、その対象となった67万件のうち3.6万件(全体の5%)ありました。その原因は申請者が改姓や住所変更を届出していないことや、申請時にカナ氏名や性別の記入を求めていなかったこととされています。

 

おそらく、総点検では、これらについても調査をして改姓や住所変更、カナ氏名や性別を確認する手間のかかる作業を行い、紐付け誤りからは除外したのでしょう。

 

また、総点検と別に11月までにマイナンバーと紐付けられたすべての保険証についても住民基本台帳と突き合わせて調査をしたことも同時に発表されています。その結果、約139万件もの氏名などの不一致が明らかになっています。そのなかでの450件程度は別人に紐付いていると推計したと発表されています。

 

実は、この不一致の139万件は年金記録問題でいえば、基礎年金番号と結びつかない「宙に浮いた」記録に近い状態ということになります。ただ、年金記録問題と違うのは、この139万件は現在の保険証という制度で独立して機能しているので完全に「宙に浮いた」状態でないということです。

 

しかし、今後保険証が廃止され、その後5年間は使用できるという資格確認書も失効した場合には、「宙に浮いた」状態が発生する可能性があり、解決すべき課題であることは間違いないでしょう。

「年金記録問題」と「マイナ保険証問題」の共通項

さて、年金記録問題とマイナンバー・マイナ保険証問題の2つの問題を並べてみると、下記の点で非常に似ていることに気づかれた読者も多いでしょう。

 

まず、基礎年金番号とマイナンバーという国民1人ひとりに結びついている番号に対するデータの紐付けをする際に起きた問題ということです。

 

そして、その紐付けの際に間違いが起きる原因が、そもそも紐付けをする際に1人ひとりの人生のなかで変わることが当然の氏名・性別・住所・勤務先などの情報を使ったことも共有しています。

 

さらに、それらの情報について人間が処理することによってタイプミスや読み間違いや異体字(「高」と「はしご高」など)の違いなども紐付け間違いの原因となっています。

 

このように年金記録問題とマイナンバー・マイナ保険証問題の発生原因は共通しているのです。

 

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