第一次世界大戦の戦後処理は、どのように展開したのか?
ドイツが中心の同盟国が敗北すると、勝利した連合国の「五大国」(米・英・日・仏・伊)がパリ講和会議(1919)をリードし、ヨーロッパの国際秩序が形成されました(ヴェルサイユ体制)。〔原内閣〕は、元老の西園寺公望(元首相・元政友会総裁)を全権としました。
ヴェルサイユ条約(1919)で、日本は山東省の旧ドイツ権益を継承し(二十一カ条要求の規定の承認)、赤道以北の旧ドイツ領南洋諸島の委任統治権(国際連盟の依頼で統治)が認められました。
一方、「各民族は自らの政体を決定できる」という民族自決の潮流が及んだ朝鮮では、三・一独立運動(1919)が拡大しました。日本はこれを弾圧しましたが、武断政治から文化政治へ転換し、憲兵警察制度の廃止などを実行しました。
また、連合国として参戦した中国では、山東省権益の日本継承に対する反発が強く、その返還などを求める五・四運動(1919)が拡大しました。
アメリカ大統領ウィルソンの提唱に基づく国際平和機関として、国際連盟(1920)が設立されました(本部はジュネーブ)。
「五大国」の一つである日本は、イギリス・フランス・イタリアとともに常任理事国となりましたが、アメリカは上院の反対で参加しませんでした(ドイツやソ連は、のちに参加)。
太平洋問題・中国問題…どのような条約が結ばれたのか
パリ講和会議後に開かれたワシントン会議(1921~22)をアメリカがリードし、アジア・太平洋の国際秩序が形成されました(ワシントン体制)。〔高橋内閣〕は、海相の加藤友三郎を全権としました。
米・英・日・仏の四カ国条約では、太平洋地域での勢力の現状維持が定められ、軍事同盟が不要となって日英同盟が廃棄されました。
米・英・日・仏・伊・中・ベルギー・オランダ・ポルトガルの九ヵ国条約では、中国の主権尊重や門戸開放・機会均等が定められ(アメリカの対中方針を共有)、石井・ランシング協定が廃棄されました。また、日中間交渉で山東省の返還を決めました。
海軍軍縮問題における条約内容
米・英・日・仏・伊のワシントン海軍軍縮条約では、艦隊の中心となる主力艦を10年間建造禁止とし、日本の保有量を対アメリカで6割、対イギリスで6割と定めました。
当時の日本は戦後恐慌に陥り、財政悪化で軍拡が困難なため、米・英・日の建艦競争を終わらせたいアメリカの意向を受け入れたのです。
こうして日本の中国・太平洋方面への政治的・軍事的進出は抑制されましたが、加藤友三郎海相が首相となった〔加藤友三郎内閣〕で海軍軍縮とシベリア撤兵が実行され、ワシントン体制を受容する協調外交の基礎が築かれました。
山中 裕典
河合塾/東進ハイスクール・東進衛星予備校
講師
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