このような根強い安心感は貴重だ。2008年から2009年の世界金融危機では報道業界がガタガタになり、私は国際誌の編集者としての仕事を失い、投資でもひどい痛手を被った。子どもふたりが私立学校に通っており、ロンドンの住居費も高額だったため、家族の生活を支えていけなくなるかもしれないという恐怖を身をもって体験した。幸い、借金をしていなかったので、投資資産を売りはらうことなく危機を乗りきることができた。
だがこのときのおそろしい経験から私は、困難な時期を生き延びるには、経済的だけでなく精神面でも容量の大きさが何よりだいじだと確信した。順調なときにはこのことを忘れがちだ。
金はかけがえのない緩衝材であり、生命線であり、予想外の出来事や不運に対する重要な防御手段となる。だがそれだけでは足りない。嵐を乗りきり、土台を立てなおしていくには、強靭な精神と回復力が必要だ。
ほとんどの人にとって、人生の質は経済的なものよりも、平静さ、受容、希望、信頼、感謝、根拠のある楽観などの内面的な特性に左右される。ジョン・ミルトンが失明後に口述した『失楽園』(岩波書店)のなかにあるように、「心というものは自己の場所であって、そこでは地獄を天国に、天国を地獄に変えうる」ものなのだ。
金融ジャーナリスト
ウィリアム・グリーン
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