写真提供:THIS ONE

知られざる「日本の住宅とその性能」について焦点をあてる本連載。今回のテーマは「木造の中高層建築物」。脱炭素への取り組みをはじめとした環境意識の高まりで注目を集めていますが、高コストがネックとされてきました。しかし、その流れに大きな変化が生じようとしています。

DR(デマンドレスポンス)とは?

さて、小山氏がGX実行会議で説明した「③DR(デマンドレスポンス)、すなわち太陽光発電の余剰電力利用が今後は重要であること」とは、どういうことなのでしょうか?

 

そもそも、DR(デマンドレスポンス)という言葉は、多くの人にとって聞き慣れないものだと思います。ただ、これからの住宅の省エネ性能や経済的なメリットを考える際には、とても重要なキーワードです。

 

資源エネルギー庁によると、DR(デマンドレスポンス)とは、「消費者が賢く電力使用量を制御することで、電力需要パターンを変化させることです。これにより、電力の需要と供給のバランスをとることができます。」とされています。

 

まだ、わかりにくいですよね。

 

電気を安定して供給するためには、電気をつくる量(供給)と電気の消費量(需要)が同じ時に同じ量になっている必要があります。これらの量が常に一致していないと、電気の品質(周波数)が乱れてしまい、電気の供給を正常に行うことができなくなってしまいます。

 

電力会社は、電力の需給バランスを保つために、刻々と変動する電力需給に合わせて発電量を変え、供給する電力量を需要と一致させるように努力しています。

 

ところが、電気は貯めることができないため、急な需要の増加に備えて電気をあらかじめ蓄えて用意しておくことはできません。その日その時に使う電気は毎日生産し、必要になった都度供給しなければならないのです。

 

ところが、太陽光や風力など再生可能エネルギー(再エネ)の供給量は、天候などさまざまな条件によって変動します。近年の再エネの導入拡大によってこの変動量が増加しています。供給側にとっては、電力需給バランスに急な変動をもたらしてしまうリスク要因が大きくなってきているのです。

 

たとえば、需要が多い時期には電力需給がひっ迫する一方、需要が少ない時期には供給が過剰になり、再エネ由来の電気が余ることもあります。特に太陽光による発電については、余剰電力が生じた際の出力制御が行われることが増えてきています。出力制御とは、電力会社が発電事業者に対して発電設備からの出力停止または抑制を要請し、出力量を管理する制度のことです。出力制御中は、発電事業者は売電ができなくなります。つまりその分の売電収入が減るということです。

 

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