長期でリターンが安定している「米国リート」
[図表]は、さまざまな資産の年率リターンを10年ごとに見たものです。
【緑色の棒】が米国株式、【オレンジ色】が米国リート、【青色】が商品・コモディティ、そして【黄色】がゴールドのリターン(年率)です。【一番左】から、1970年代、80年代、90年代、2000年代、そして2010年代に分けています。
実物資産として思い浮かぶのは、【青色】の商品・コモディティや、【黄色】のゴールドでしょう。たしかに、【一番左】の1970年代を見ますと、【青色】の商品や【黄色】のゴールドは高い伸びになっています。
ただし、【右】のその他の年代をご覧いただくと、商品やゴールドは、不調な時期に入ると、投資期間が10年でも、ほとんど上昇しなかったり、マイナスになる場合もあります。市場が小さく、短期間に大きく上がる分、反動も大きくなりがちです。
他方で、【オレンジ色】の米国リートを見ていただくと、決してトップには立てず、いわば「万年2位、3位」なのです。ただ、どの10年をとってもリターンが安定しています。
今後のインフレの可能性・リスクに備えるならば、商品・コモディティやゴールドに分散投資をされることも一案ですし、加えて、過去のデータからは、実物資産でかつ、長期でリターンが安定していた米国リートへの分散投資も検討に値するでしょう。
新NISAで迷ったら「5つすべて」に分散投資を
筆者が勝手に考える「5つの投資家のタイプに合った資産運用・投資戦略」をそれぞれ示すと、次のようになります。
A.株式市場全体は「長期右肩上がり」だと考える人
……株式ファンドでつみたて(つみたて投資枠、成長投資枠)
B.(株価は「長期右肩上がり」だと思うが)しばらく株価は下がると考える人
……株式ファンド/株式のアクティブ・ファンドでつみたて(つみたて投資枠、成長投資枠)
C.株式市場全体では上がりにくく、生き残る企業や産業の選別が進むと考える人
(株式市場全体では上がりにくいが、なかには成長する企業や産業はあるだろうと考える人)
……株式のアクティブ・ファンドでつみたて(成長投資枠)
D.どの企業の株価も、もはや上がらない・横ばいだと思う人or下落が怖い人
……利息狙いの債券ファンドでつみたて(主に成長投資枠)
E. 「株高よりインフレでは?」。政府債務・労働力不足・温暖化対策・米中対立・ウイルスなど
……商品や不動産・リートなどの実物資産でつみたて(主に成長投資枠)
ポイントは「成長投資枠をうまく活用して、積み立て投資を行うこと」です。
では、結局、上記5つのうち、どれを選択すればよいのでしょうか。筆者は、この5つに分散投資をすれば、今後の世界のほとんどの状況に対応できるのではないかと考えています。
結果的にどれかが「正解」かもしれませんが、現時点ではそれは「わからない」わけですし、どれか1つが正解というよりも時代によって移り変わりがあるでしょう。資産と時間について幅の広い分散投資をされれば、リターンが安定することはすぐにご実感いただけると思います。
みなさんの資産運用での成功を心よりお祈り申し上げます。
重見 吉徳
フィデリティ・インスティテュート
首席研究員/マクロストラテジスト
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