フィリピン「失業率」18年ぶりの低水準の理由…さらなる「労働市場活性化」の条件は?

12月18日週「最新・フィリピン」ニュース

フィリピン「失業率」18年ぶりの低水準の理由…さらなる「労働市場活性化」の条件は?
写真:PIXTA

一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏が、フィリピンの現況を解説するフィリピンレポート。今週は、対照的な結果がでた失業率と貿易収支についてみていきます。

フィリピン最新労働統計:失業率、18年ぶりの低水準

フィリピンの失業率は10月に18年ぶりの低水準になり、国の労働市場の強さが示されました。フィリピン統計局(PSA)によれば、失業率は4.2%で、2005年4月以来の最低水準で、昨年11月と同水準です。雇用率も95.8%に上昇し、18年ぶりの最高水準で、持続的な労働需要が経済の勢いの原動力となっています。

 

PSAの労働力調査(LFS)の予備結果によれば、10月の失業率4.2%は、去年の同月の224万人から15万人減少した209万人の失業者に相当します。失業率は2022年と9月の4.5%からの改善となりました。一方で首都圏は10月に最も高い失業率で5.4%を記録。ダバオ地域が最も低く、2.9%でした。

 

国家経済開発庁(NEDA)は、政府が貿易と投資を促進する取り組みを通じて、労働市場はさらに改善すると述べました。新しい技術をもたらす投資が進めば、労働市場をより活性化すると見られています。

 

年初から10月までの失業率は4.6%で、フィリピン開発計画の2023年の目標である5.3%から6.4%を下回っています。2028年までにフィリピンの失業率を4%から5%に引き下げるというマルコス大統領のビジョンに近づいているといえるでしょう。

 

PSAのデータによれば、10月に労働力の規模は前年同月の4,930万人から58.9万人増加し、労働力参加率(労働年齢人口に占めるフィリピンの労働力の割合)は10月に63.9%となりました。これは昨年同月の64.1%よりも低い水準です。また雇用率は10月に95.8%に上昇し、これは2005年4月以来の最高率です。

 

10月は、労働集約型産業や政府のインフラプロジェクトからの労働者への需要が高まっているため失業率が低下したと見られています。現在、熟練した労働者と建設労働者への需要が高まっています。産業別では、サービスセクターは4,708万人を雇用し、総雇用者の60.1%を占めています。農業と産業セクターはそれぞれ22.2%と17.8%を占めています。

 

また宿泊施設および飲食サービス(29.1万人増)、管理およびサポート(22.4万人増)、輸送および保管(14.9万人増)で雇用が著しく増加しました。一方で、卸売および小売販売、自動車およびオートバイの修理(19.3万人減少)、鉱業および採石(7.5万人減少)、製造業(7.3万人減少)では雇用が減少しています。

 

農林業は10月に、第三四半期の始まり(7月)から109万人増加しています。農業セクターが労働市場を支えた格好です。10月は主要な作物の収穫が始まる時期で、米などの作物の植え付けの時期でもあり、10月に増加する傾向があります。

 

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※当記事は、情報提供を目的として、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングが作成したものです。特定の株式の売買を推奨・勧誘するものではありません。
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