イギリスも失業者が続出する羽目に…
続いてイギリス。大戦以降、低空飛行が続くイギリス経済に恐慌が追い打ちをかけ、200万人以上が路頭に迷いました。
当時の労働党マクドナルド内閣は税収が落ち込んだこともあって、失業保険※を10%カットすることを発表。「労働者を守るのが使命である労働党が、失業者への手当をカット!?」という異常事態です。
※ これも均衡財政にこだわった結果といえる
マクドナルド内閣は総辞職、彼自身も労働党を除名される騒ぎとなりました。
そしてイギリスは、植民地などの従属地域に対し「イギリス製品だけ買って、他国の商品は買わないでほしい」とお願いし、排他的な経済圏を構築しました。これがブロック経済※。
※ イギリスはスターリング=ブロック(ポンド=ブロック)
具体的には、イギリス連邦内で流通する製品は低い「特恵関税」にして、連邦外から流入する外国製品には高関税を課しました※(図表3)。
※ これによって外国製品は締め出される
アメリカも中南米などを組み込んだドル=ブロックを構築し、この際に従来の高圧的な棍棒外交を改めて善隣外交に転換して、フィリピンやキューバには独立という見返りを与え協力を求めました。
またアメリカはこの時期にソ連を承認しましたが、通商を行いたいという下心も見え隠れしていますね。
英仏米といった「持てる国」が外国を排除する経済圏をつくったのに対し、困ったのは自前の経済圏に乏しかったドイツ・日本・イタリアの「持たざる国」でした。
これらの国は市場を得るため、対外侵略に活路を見出すことになります。そのドイツをリードしたのがナチ党党首アドルフ=ヒトラーでした。
平尾 雅規
河合塾
世界史科講師
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