“木材屋”に「林業」の相談をした林業志望者
最近体験した、あるエピソードを紹介するのがわかりやすいと思う。その日僕は、大阪で開催される高知就職・転職フェアに参加していた。高知県が大都市からの移住・転職者を呼び込むためのイベントで、地元企業の一つとしてブース出展していたのである。資本金50万円で、事業計画書もなしに始めた会社が今や「高知代表」のような顔をしていると思うと、われながら不思議な気がする。
隣のブースには、県内でも有数の木材屋が入っていた。ちょっと暇になった時間に、隣に来た相談者の話をさりげなく聞いていると、どうやらその人はもともと高知の人らしい。Uターン組である。
「高知に帰って、林業をやりたいんです」などと言っている。それを聞いて、僕は「おいおい」と苦笑してしまった。木材屋は木を扱うわけだし、もちろん林業との関連はある。
しかし、当たり前だが、林業とは別の仕事だ。林業をやりたい人が、就職・転職フェアで材木屋に相談するのは筋違いだ。迷惑なんじゃないだろうか? こういうのが合理的な、いわば都市のビジネスパーソン的な発想である。
しかし、世の中はそういう思考様式、行動様式の人ばかりではない。相談された木材屋の担当者は、迷惑がるどころか、「あ、それなら」と、当たり前のように説明を始めた。高知の林業事務所では人材育成に力を入れているから、無料で技術を学んで資格もとれる制度がある。まずはただで勉強して資格もとって、先のことはそれから考えればいいんじゃないですかと話していた。相談した人は、教えてもらったとおりに県の林業事務所に連絡すればただで勉強ができる。
しかし、そこで学びながら地場のつながり、業界内のつながりをつくることができるだろう。あとはその流れに乗っていけば、希望どおりに仕事に就ける。
木材屋は林業志望の人にアドバイスをしてもメリットはない。しかし、地方の人というのは教えたがりである。なおかつ、地方には濃密な人間関係がある。木材屋なら、林業関係者の知り合いも多いのは当然だろう。
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