参加者14億1,000万人!共産党の歴史を辿るツアーがブームに
さて、聖地巡礼といえば、数年前からプチブームになっている「紅色旅游(レッドツーリズム)」。中国共産党の歴史をたどる旅を指す。
観光資源は「長征」「抗日戦争」「解放戦争(国共内戦)」などに関連する施設や場所。「抗日」「革命」「烈士」などの名前が付いた観光地がメインだ。目的地としては、北京や上海、西安などの大都市に加え、吉安(江西省)、延安(陝西省)、嘉興(浙江省)などが挙げられる。
"コロナ前"の19年の「紅色旅行者」は14億1,000万人。全体(60億600万人)のおよそ4分の1近くに上っていた。
直近データは不明だが、「紅い観光地」は各地で盛り上がっている。南昌(江西省)の「南昌八一起義紀念館」、武漢(湖北省)の「辛亥革命武昌起義紀念館」、上海の「四行倉庫抗戦紀念館」などが代表的スポット。満州事変に関連する瀋陽(遼寧省)の「九一八歴史博物館」、日清戦争の激戦を伝える威海(山東省)の「甲午海戦紀念地」などもある。
紅色旅游の概念は04年に打ち出され、第14次五ヵ年計画(2021~25年)内でも「紅色旅游を推進する」とされている。いわば立派な国策のひとつだ。
ならば、国や党の幹部訪問地を巡るのは、さしづめ「紅色視察」とでもなろうか。まさか国策にはならないだろうが……。
奥山 要一郎
東洋証券株式会社
上海駐在員事務所 所長
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