(※画像はイメージです/PIXTA)

政府・与党が少子化対策の一環として、「生命保険料控除」の拡大について検討に入ったことが判明しました。このことについて、多くの批判の声が殺到しています。どのような内容なのか、データも紹介しながら問題点とともに解説します。

生命保険をめぐるトレンドに逆行?

最後に、生命保険をめぐるトレンドに逆行しているという指摘もあります。

 

すなわち、生命保険については、近年、多くのFP等の専門家や、保険の営業担当者から以下のような問題が指摘されてきています。

 

・無駄な保険に加入している人が多い

・保険と貯蓄は区別して考えるべきである

 

まず、「無駄な保険に加入している人が多い」という点については、前述のように、生命保険に加入する際には将来のライフプランや公的保障も念頭に置いて保険を組むことで、無駄のない保障を備える必要があります。しかし、それができていないケースが非常に多いのです。「より多くの保険料を支払わせること」よりも、「より少ない保険料で過不足のない保障を備えること」のほうが重要になっています。

 

また、「保険と貯蓄は区別して考えるべきである」という点については、昨今、超低金利の影響で、「終身保険」や「養老保険」といった貯蓄型の生命保険はごく一部の例外を除いて貯蓄効率が悪くなっています。

 

死亡保障は「定期保険」や「収入保障保険」といった「掛け捨て」の保険は割安な保険料で大きな死亡保障を備え、貯蓄は「iDeCo」や「NISA」といった税制優遇制度を利用して「投資」によって行う、という方向性が示されています。特に「iDeCo」は掛金が全額所得控除になり、掛金の支払い段階で生命保険料控除よりも有利です。

 

このように、生命保険料控除の拡充と、万一のときの遺族のための死亡保障等を充実させることとは、区別して考えるべき問題だということが浮き彫りになっています。ましてや、少子化対策に役立つかどうかということも定かとはいえません。

 

他方で、「16歳~18歳の扶養控除の額の維持」「年少扶養控除の復活」等を訴える声が多く上がっています。そして、それらによって浮いたお金は子どもの教育費に回せることが明らかです。

 

今こそ、岸田首相には「聞く力」を発揮し、国民の声に耳を傾けてもらいたいものです。

 

 

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