受け取る「年金支給額」はどう違うか
ただし、厚生年金は、保険料の負担は大きいものの、これに見合うように十分な給付が約束されています。老後(年金の受給開始後)にもらえる年金額は国民年金の額を上回りますし、障害年金や遺族年金の支給額も、国民年金のそれを上回ります。
なお、厚生年金の場合、保険料は半分は会社が負担してくれて、しかも、会社負担分についても「法定福利費」として会社の経費に計上されるというメリットもあります。
これらのことを考慮すると、基本的には、社長のほうが個人事業主よりも断然お得ということになります。
国民年金と厚生年金の受給額の違いを、ざっくりと比べてみましょう。国民年金を多くもらうコツは、納付月数を増やすことです。これに対し、厚生年金を多くもらうコツは、納付月数もさることながら、お給料の月額を多くもらうことです。
まず、国民年金で受け取れる将来の年金額を試算してみましょう。国民年金で最大もらえる額は、今のところ年額で約80万円です。これは40年、つまり480ヵ月間支払い続けた場合の金額であり、支払い期間がこれより短い場合は、保険料を支払った月数の割合に応じて支給されます。
たとえば、480ヵ月のうち360ヵ月分だけ支払ったのであれば、〈80万円×(360ヵ月÷480ヵ月)=約60万円〉となります。なお、今後は10年以上支払わなければ(免除期間を含む)、いっさい支給されないので注意してください。
次に、厚生年金の受給額を計算してみます。厚生年金は「定額部分」と「報酬比例部分」「加給年金」の3つに分かれます。ここでは、およその最低額を計算するので、「定額部分」は国民年金の支給額とほぼ同じとします。また「加給年金」はないものとします。
最後に残った「報酬比例部分」は概ね〈平均の給料月額×7÷1,000×支払った月数〉で試算できます。
たとえば、平均月収が40万円で、360カ月分を支払ったのであれば〈40万円×7÷1,000×360=約100万円〉です。国民年金と比べると、毎年約100万円も多く年金がもらえることになります([図表2]参照)。
もし、自分の納付月数がわからないとか、もっと詳細なシミュレーションをしたい場合は、日本年金機構から毎年送付されてくる「年金定期便」を見ると、より精度の高い試算ができます。
ところで、じつは残念なことに厚生年金には決定的なデメリットがあります。それは、60歳以降もなお社会保険に入りながら、立派に会社を運営していると、「在職者の老齢厚生年金」(在職老齢年金)という制度にひっかかってしまうことです。
これは、社会保険に加入するくらい働いていて、給料をもらっている人には、なるべく年金の支給を我慢してもらいましょう、という趣旨の制度です。最悪の場合、年金をまったくもらえない時期も出てきます。
本記事では詳細には立ち入りませんが、この制度によって「もらえるはずの年金が、もらえない」ということがないように、受給開始年齢になる前に、給料の額を調整する必要もあります。
関根 俊輔
税理士法人ゼニックス・コンサルティング
税理士
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