<接待交際費の経費算入>法人は「年800万円まで」、個人事業主は「無制限」だが…「税務調査」で待ち受ける「思わぬ落とし穴」【税理士が解説】

<接待交際費の経費算入>法人は「年800万円まで」、個人事業主は「無制限」だが…「税務調査」で待ち受ける「思わぬ落とし穴」【税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

事業を行う場合、「経費」の処理方法は「会社」か「個人事業主」かで異なります。本記事では、「プライベートな支出」と「接待交際費」に注目し、「会社」と「個人事業主」のそれぞれについて、税理士の関根俊輔氏の著書『改訂6版 個人事業と株式会社のメリット・デメリットがぜんぶわかる本』(新星出版社)から一部抜粋して紹介します。

プライベートな支出の処理は「個人事業主」のほうがラク

事業を行う場合、事業の資金とプライベートの資金をどのように区別するかという問題があります。

 

この点について、会社の場合、会社の通帳からお金を引き出して、社長がプライベートな買い物に使うのはルール違反です。一方、個人事業は厳密に分けて処理する必要はなく、融通が利きます。以下、解説します。

 

◆会社は「公私の線引き」が厳しい

会社の場合、個人が出資した資本金は「会社の財産」となります。いったん会社に入ったお金は、たとえ社長であろうと勝手に使うことはできません。事業に必要なお金と、社長がプライベートで使うお金とは、厳密に分ける必要があります。

 

たとえば、事業には関係なく、社長がプライベートでダイヤの指輪を購入したとします。個人事業の帳簿であれば、この支出はプライベートな支出であると意思表示さえすれば、経費としては認められないものの、銀行などの口座から自由にお金を引き出せます。

 

ところが、会社の場合はそうはいきません。社長のプライベートな支出はあくまでも「会社からもらう『役員報酬』(給料)の中から支払う」のがルールだからです。

 

もしも勝手に会社のお金を使って支払ったら、それは経費として認められないどころか、社長に対する「貸付金」と認定されてしまいます。そして、その貸付金は、いずれ利息分もあわせて会社に返済しなくてはなりません。それが法人税法で定められたルールです。

 

「自分の会社なのだから、自分が使ったお金は会社に戻さなくてもいいだろう」と思ったら、アウトです。経費と認められない社長のプライベートな支出を会社のお金を使って行った場合は、すべて「役員賞与」という社長へのボーナスと認定され、所得税や住民税が課税されます。

 

さらに、金融機関から借入がある場合、社長への「貸付金」は悪い印象を与えてしまいます。なぜなら「信用して資金繰りのために貸したお金が、社長のプライベートに使われている」と思われるからです。こうなっては、次回の借入ができなくなることもあります。

 

◆個人事業は「自己否認」が認められる

一方、個人事業での場合、事業用のお金とプライベートのお金を厳密に分けて管理する必要はありません。なぜなら、「自己否認」という会計上の処理の仕方があるからです。

 

たとえば、携帯電話をプライベートでも仕事でも使っている場合、とりあえず帳簿には支払った使用料を全額載せておきます。そして、決算のときにこのうち半分はプライベートで使ったものとして、半額だけ経費に計上するということができます。これを「自己否認」といいます。

 

会社だと、こうした処理はできません。プライベートで使ったお金はあらかじめ経費扱いせず、つねに健全な会計処理を行うことが求められます。プライベートと仕事の線引きが苦手な人ほど、会社を設立したあとで帳簿の中身がぐちゃぐちゃになりがちです。個人事業ではなく会社を設立することを選ぶならば、公私の区別をきちんとつけることを心がける必要があります。

 

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