(※写真はイメージです/PIXTA)

先祖代々受け継いだ土地や建物などの資産で、何もしなくても家賃収入を得て楽に暮らしている、と世間からは思われがちな「地主」たち。しかし実際、資産防衛を巡る銀行とのやりとりに日々悩み苦しめられているケースもあります。地主専門の資産防衛コンサルタント業に従事する松本隆宏氏の著書『地主の真実』より、令和時代の地主たちが抱える深刻な問題を、具体的な事例をもとに見ていきましょう。

【家族構成】

小林謙さん(夫)74歳、芳江さん(妻)、洋一さん(長男)、恵子さん(長女)

※すべて仮名

【あらすじ】
芳江さんの夫・小林謙さんが亡くなり、地下鉄直結の駅ビルの2区画を相続した芳江さん。好物件と思われたが、相続後に待ち受けていたのは悪質テナントとの裁判や、オーナーの大手デベロッパー・Mビルからの嫌がらせだった。なんとか切り抜けたと思いきや、今度はコロナ禍となり、テナント入居が難航する事態に……
 

コロナ禍救済の緊急融資を受けるべく銀行へ行ったものの……

テナントが入っても入らなくても家賃、修繕積立金、管理費、固定資産税などはかかる。当時はコロナ禍であったことから、芳江さんは500万円まで無利子の4号認定の融資を受けることにした。

※セーフティネット保証4号。突発的災害(自然災害等)の発生に起因して売上高等が減少している中小企業を支援するための措置。自然災害等の突発的事由により、売上高等が減少している中小企業・小規模事業者の資金繰り支援措置として、信用保証協会が一般保証とは別枠で融資額の100%を保証する制度。

 

「土地も家もあるので、借りなくても何とかしのげるとは思いましたが、万が一のために借りておこうと話し合って決めました」(恵子さん)

 

まず、区役所で4号認定の書類をもらい、それをもって銀行で手続きをする。洋一さんは以前から取引のあった大手M銀行かS銀行で手続きをしたいと考えた。しかし、どちらの支店も対応していなかった。

 

町内会でもお付き合いがあり、目の前に懇意の銀行があるのに、わざわざ遠くの銀行に行った。

 

区役所の担当者は協力的だったが、いざ銀行に行くと、融資は下りなかった。理由を聞くと、これまで借入をする際に、信用保証協会を利用したことがないので、「信用がないから」というものだった。

 

銀行ではなく、信用保証協会のデータベースに載っていなかったというのである。だからゼロからの審査になった。

 

「そういうことってあるんだって、びっくりしました。借金をしている人のほうが信用があるっていうのも、おかしな話だなと思いました」(芳江さん)

 

取引のある銀行のはずが、なかなか下りない融資

取引のある銀行なら、資産状況はわかっている。ビルのテナントの権利だけでも資産価値500万円以下のはずがない。

 

それでも融資はなかなか下りなかった。そのあげく、銀行で手続きに時間がかかり過ぎたことから、書類の有効期限を過ぎてしまった。区役所は「そういう事情なら期限が切れていてもいいですよ」と対応してくれたのはよかったが……。

 

「資産の額、現金の額、私の預貯金がどのくらいあるのかなど、かなり細かく書類に書いて出す必要がありました。コロナ救済のための緊急融資なのに、結果、通常の融資と同じことをしなくてはならなかったのです」と恵子さんは憤慨する。

 

結局、融資は下りた。しかし、芳江さんはそれに手を付けず、後日そっくりそのまま返済した。

 

「Mビルも銀行も大手企業です。担当者はサラリーマンで、担当範囲が限られていて、縦割りというか他のセクションの情報には疎い。不動産屋も同様で、質問しても、担当範囲外のことは知らないし、調査もしない」(洋一さん)

 

「私たちの中では今も昔も、銀行さんに相談するほうがリスクがあるという認識です。バブル時代に、父も銀行さんからだいぶ痛い思いをさせられていました」(恵子さん)

 

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    ※本連載は松本 隆宏氏による著書『地主の真実』(マネジメント社)より一部を抜粋・再編集したものです。

    地主の真実

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    松本 隆宏

    マネジメント社

    世間一般にイメージと違う地主の真の姿を明らかにし、どのような問題をかかえ、どのように解決し資産防衛してきたかを著者=「地主の参謀」がレポートした。

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