(※写真はイメージです/PIXTA)

先祖代々受け継いだ土地や建物などの資産で、何もしなくても家賃収入を得て楽に暮らしている、と世間からは思われがちな「地主」たち。しかし実際、資産防衛を巡る銀行とのやりとりに日々悩み苦しめられているケースもあります。地主専門の資産防衛コンサルタント業に従事する松本隆宏氏の著書『地主の真実』より、令和時代の地主たちが抱える深刻な問題を、具体的な事例をもとに見ていきましょう。

不動産の売却金が口座に入金されると、銀行の様子に異変が……

区分所有の2区画を売却し、手付金が芳江さんの口座に振り込まれると、銀行や証券会社から頻繁に連絡がくるようになった

 

「このお金はどうお使いになるんでしょうか? 目的はもう決まってらっしゃるんでしょうか?」

 

「もう決まっておりますので結構です」と断っても、電話は絶えずかかってくる。芳江さんは銀行の電話番号を「迷惑電話」として登録し、無視していた。それでも銀行は留守番電話にメッセージを残していた。

 

恵子さんにも、以前融資を断られていた担当者からも連絡がきた。資金の用途や売却した物件について質問され、今度は積極的に融資を申し出てきた。

 

芳江さんの銀行口座に区分所有の2区画を売却した代金が着金すると、大手M銀行の態度はさらに露骨になった。

 

他行への資金移動をなんとか阻止したい大手銀行

芳江さんはアパート購入のため、別の地方銀行から融資を受けていた。その融資と2区画の売却代金でアパートの決済を行う計画だったのだ。

 

そのため、大手M銀行の口座からその地方銀行への資金移動が必要だったが、大手M銀行はなかなか許可してくれなかった。

 

インターネットバンキングじゃないとできません、と嘘をつかれたこともありました」(芳江さん)

 

ある日、芳江さんが銀行に行くと、奥から銀行員が駆け寄り「どうぞこちらへ」と個室に通された。

 

銀行員に取り囲まれ「このお金はどうされるのですか? もう何か買われたのですか?」と、床に膝をついて聞いてくる

 

銀行員は「何かありましたら、老後のことでも、何でも、何なりと言ってください」と芳江さんにすり寄ってきたが、「これまでの人生で人様に膝をつかれてものを言われたことなどないので、ぞっとしてしまった」と芳江さんは言う。

 

銀行の本音は「自分の利益のために金融商品を売りたい」

今、銀行は、地主か大手企業のサラリーマン、公務員の退職金にフォーカスしている。まとまった資金が動く瞬間はそれくらいだからだ。

 

芳江さんが銀行へ行くと、毎回違う人が3~4人、名刺を持ってくる。もう資産管理は子どもたちにまかせているのでやめてほしい、と伝えても電話は続いている。

 

彼らは決まって「お手伝いします」と言うが、これが何を意味しているのかをこの機会に考えてみていただきたい。

 

銀行によって設定額は違うが、親子間でも500万円や1000万円以上の資金を移動すると、「このお金は何に使うのか?」と問い合わせがくる。

 

銀行としては自分たちの利益になる金融商品を売りたいのだ。

 

「銀行だから安心、大手だから安心」とは限らない

例えば、銀行に預けた際の預金利率が0.002%である一方で、銀行がそのお金を企業に貸す利率は2.0~3.0%だ。

 

この差額は驚くほど大きい。実際には銀行に預けているわけではなく、貸していると考えるべきだ。銀行は私たちのお金を何十倍にもして使う。

 

多くの人は銀行だから安心だろう、大手だから安心だろうと思っているが、決してそうではない。

 

「私たちも、銀行=安全ってイメージがあって、善良な企業と思っていたんですが、でもあちらもご商売なんだな、というのはお付き合いしてみて実感したところです。損得勘定もある一つの企業なんだな、と実感しました」(恵子さん)

 

 

松本 隆宏

ライフマネジメント株式会社

代表取締役

 

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※本連載は松本 隆宏氏による著書『地主の真実』(マネジメント社)より一部を抜粋・再編集したものです。

地主の真実

地主の真実

松本 隆宏

マネジメント社

世間一般にイメージと違う地主の真の姿を明らかにし、どのような問題をかかえ、どのように解決し資産防衛してきたかを著者=「地主の参謀」がレポートした。

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