※画像はイメージです/PIXTA

中東は日本人にとって地理的にも文化的にも遠い国かもしれない。知っているといえば桁外れの高層ビルが建ち並ぶ「ドバイ」くらいだろうか。一方、世界の投資家が注目しているのは「サウジアラビア」。不動産価格は今後5年で年利8%程度と、高い上昇率が予想されている。日本人にはあまり知られていないサウジアラビアの実情をみていこう。

海外企業が続々進出…住宅ニーズが急増

 

Vision2030は、サウジアラビア王国が石油依存体質から脱却し、包括的発展を実現するための成長戦略である。このビジョンの導入以来、サウジアラビアは経済を多様化し、石油およびガスに依存する度合いを減らすために重要な努力をしてきた。王国は経済全般を支援しており、特に不動産に焦点を当てている。Vision2030計画に関連する数十億ドル規模のプロジェクトのおかげで、2023年の644.3億ドル(9兆5,702億2,400万円)から2028年941.9億ドル(14兆5,629億円)と、年率7.89%で上昇する見込みだ。

 

リヤド(サウジアラビアの首都で最大の都市)は急速に不動産部門でグローバルな競争相手となり、長い間第一の人気だったUAEの首都ドバイに肩を並べている。この理由は、UAEの都市よりも価格における非常に高い優位性があり、サウジ政府が金融および税制のインセンティブを通じて海外投資家を引き寄せようとする大きな動きを背景としている。

 

サウジアラビアは過去1年間にMicrosoft(MSFT.O)、Oracle Corp(ORCL.N)、中国のHuawei(HWT.UL)など、将来の技術への130億ドル以上(1兆9439億5500万円)の投資を誘致している。これには、これらの企業の国内向けクラウドリージョン(データセンターが存在するエリア)構築も含む。Google Cloudは正式にサウジアラビアのダンマムに新しいクラウドリージョンを開設すると発表した。これは、2024年から2030年までにサウジ経済に累積で1,090億ドル(16兆2993億1,500万円)と予想されており、2030年までに約14万8600件の雇用の創出をするという目標の後押しとなるかもしれない。Huawei Technologies Co.は2024年にドバイからの移転を検討し、リヤドを中東の本社にする予定だ。

 

現在、サウジアラビアでは110以上の日本企業が活動しており、今後4年間で倍増する見込みだ。

 

サウジアラビア政府は2021年に、国内拠点のない企業は2024年から政府契約の入札対象から外れると、国際企業へ最後通告を発行した。サウジアラビアの目標は、2030年までに480社が地域本部を国内に設立することだったため、サウジへの専門家の移住が進んだ。しかし、新しい居住者にとって住居の不足は深刻な懸念となった。人口の増加に対応するには、相当な量の住宅開発が必要で、少なくともその数は倍増することが予想されている。リヤドでは、人口は現在750万人から2030年末までに約1,700万から1,800万人に増加する見込みだ。

 

従来のサウジ国民が住みたがっていた様な大きなアパートや別荘のような大規模な物件に焦点が当てられていた。しかし、外国人が増加するなかで、リヤド市中心部とビジネス金融地区に主に位置する小さなマンション物件への需要が増している。

 

サウジアラビアはまた、移住した外国人に対応するためにリヤドに私立および国際学校を増やす取り組みを進めている。これらの新しい学校の創設は、「2030年までに首都を世界でもっとも競争力のある暮らしやすい都市のひとつに変革する」ことを目指す投資省と教育省の共同計画であるInternational School Attraction Program(国際学校創設プログラム)の一環だ。リヤドには1985年以来存在する日本のインターナショナルスクールもある。

 

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