※画像はイメージです/PIXTA

文化的な背景や地理的要因から、日本人には遠い存在である中東地域。一方で、ビジネスを語るうえでは欠かせない存在になりつつある。今回みていくのはサウジアラビア。石油依存から脱却と経済の多様化を模索し、外国企業の誘致に積極的な姿勢をみせている。

サウジに本拠地移転を促す「30年の税制優遇措置」

中東および北アフリカ(MENA)地域で最大の経済大国であるサウジアラビアは、多国籍企業を誘致するため、また多様化の推進の一環として、本拠地をサウジアラビアに移す国際企業に対する30年間の税制優遇をする計画を発表した。

 

現在、サウジアラビアの法人税は20%。今回の新たな税制優遇措置は、国際投資と駐在外国人を呼び込むポジティブキャンペーンの一環だ。この税制優遇は、さまざまな地域で事業を展開する多国籍企業にとって、緩和された雇用要件や本拠地役員の配偶者に対する労働許可などの他のメリットとともに、サウジアラビアに本拠地を移転する大きな理由になるだろう。

 

2023年には、Siemens、Google、Huawei、Microsoft、PepsiCo、Baker Hughes、Halliburton、Philips、Schlumberger、Novartis、Unileverなどを含む約80の上場企業が、サウジアラビアに本拠地を移すためのライセンスを取得している。これらの企業の多くがリヤド(サウジアラビアの首都)のキング・アブドゥッラー・フィナンシャル地区(首都リヤドにある経済開発特区)に拠点を置くことが予想されている。リヤドに本拠地を設立する予定の80社は、2030年までに900億SAR(サウジアラビアの通貨リヤル≒23.86億米ドル)の投資効果と3万件の雇用機会をサウジアラビアにたらす見込みだ。

 

これらのグローバル企業は本拠地のライセンスを取得したあと、即日税制優遇を受けることができる。政府は2021年に外国企業に対して、2023年末までに国内に本拠地を設立しない場合、政府契約への入札が不可となる法案を制定しているが、この税制優遇はその法案施行後の措置だ。「この新しい優遇措置は、多国籍企業がサウジアラビアを通じて地域での存在感を増し、自ら成長していくうえでの将来性と確実性をもたらしている」とサウジ政府担当者はいう。

 

そして2024年初めまでにサウジ国内に本拠地を持たない外国企業は収益性の高い政府契約や入札に参加不可能となる事を宣言した。このニュースにより、多国籍企業のサウジアラビア進出の可能性は、中東地域のなかで最も企業が集中する都市であるドバイ(アラブ首長国連邦の商業首都)に肩を並べた。

経済成長著しいサウジアラビア…2024年はさらなる飛躍を期待

サウジアラビアの長期的な経済的安定性、若いながらも熟練した人々を中心とした労働力、戦略的な立地、そして強い成長の見通しは、すでに世界の主要企業を引き寄せ、サウジアラビアを新しい地域拠点として選ぶ理由になっている。同時に、多くの経営者、起業家、才能ある専門家にとって、サウジアラビアはキャリアを発展させる魅力的な場所となっている。

 

サウジアラビアの経済は昨年8.7%成長し、国際通貨基金によれば、今年はさらに2.9%拡大する見通しだ。非石油依存の経済は強い国内需要に支えられて、今年も5%に近い経済成長を遂げると予想されている。

 

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