世界的な一流投資家たちは、みなそれぞれ独自の信念と哲学を有している──。本連載は、金融ジャーナリストであるウィリアム・グリーン氏の著書『一流投資家が人生で一番大切にしていること』(早川書房)より一部抜粋して紹介し、一流の投資家たちの成功哲学を探ります。今回は、型破りな投資家二人組に学ぶ、目先の甘い話に乗らない者が特大の報酬をつかむ理由について、抜粋して紹介します。
いまの時代に大きな力となる能力
哲学や知的世界にも通暁(つうぎょう)する投資家のなかで、このふたりほど尊敬を集めている者はいないだろう。
著名な投資家ビル・ミラーは、彼らの「完全な独立性」と「思考の明晰さ」を高く評価し、自己資金をノマドに投資した。スリープの友人でもあるガイ・スピアは、スリープのことを投資界のなかでとくに深遠な思考のできる人物と称える。
私がモニッシュ・パブライに、どの投資家にインタビューをすればいいかと相談したところ、彼は答えた。「ニック・スリープは枠に収まらない人物だよ。とことん緻密に調べ、抜群の集中力をもつ。だが、インタビューはきみの身を削るようなものだろう。スリープの話はおもしろいと思うが、たぶん彼は引きうけない。話し好きじゃないしね」。
たしかに、スリープとザカリアの神秘性は、ふたりがひっそりと暮らしていることでより高まっている面がある。ファンドの売りこみにも、ましてや自分たちを売りこむことにもまったく関心がなかった。そのため、彼らの名は話題にのぼってこなかった。
それでもこの数年のあいだに、私はスリープにインタビューする機会を何度かもつことができた。そして2018年の秋、ロンドンのキングスロードにあるふたりのオフィスで、私はスリープとザカリアふたりとともに午後の時間を過ごすことになった。そこは、ザカリアの仕事机すら置いていない、くだけた雰囲気の明るいスペースだった。
スリープは机に向かうより、豪奢な布の張られた肘掛け椅子で仕事をするのを好み、椅子の面の壁には宇宙服っぽい養蜂用の防護服が二組掛かっていた。彼らが「資本主義の冒険」と呼ぶ精神を反映した「銀河系総本部」のなかにいるようだった。
インタビューでは、最後は善良な人間が勝つという励まされる教訓や、目先の誘惑に抵抗できるだけの規律と忍耐を備えた投資家だけに特大の恩恵が積みかさなるなどの話をしてくれた。短期的思考に支配されているいまの速度至上の時代にあって、報酬の受けとりを先延ばしにできる能力は、市場に限らずビジネス全般や人生でも成功を呼びよせる大きな力なのだ。
金融ジャーナリスト
ウィリアム・グリーン
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